ひとつ歳をとれば...。J1昇格候補だった
松本山雅の低迷にはワケがある (4ページ目)
この試合、先発11名の平均年齢は、松本の30.27歳に対し、大分は27.27歳。11名のうち8名が30代という構成は、ハードワークを武器にするには、あまりに歳を取り過ぎている。大分がFWのスピードを徹底して活用してきたことは、当然の松本対策だったと言える。
サッカー専門誌『サッカーダイジェスト』の6月8日号によれば、J1、J2全クラブを対象に若手稼働率(全選手の公式戦出場時間のうち、1993年以降生まれの選手の出場時間が占める割合)を算出してみると、松本のそれはわずか3%で全40クラブ中最下位だという。松本同様、運動量豊富なサッカーを武器とし、J2の首位を独走する湘南ベルマーレの30%と比較すると、その差は歴然だ。
振り返れば、昨季終了後のシーズンオフ、松本は20代前半以下の若い選手の流出が目立った。もちろん期限付き移籍満了など、必ずしもそのすべてがクラブの意に沿ったものではなかったとしても、現在抱える懸念材料を考えれば、的確な強化が行なわれたとは言い難い。
どんなに経験と実績があるベテランでも、ひとつ歳を取れば、不安要素も少なからず増す。勝ち点だけを見ると、昨季から今季にかけて急激にチーム力が低下したようにも見えるが、反町監督によれば、「昨季も結局、最後はダメ(シーズン終盤に失速)だった。昨季も今季も(抱える問題は)同じ」だという。
フロントに苦戦の責任があると言いたいわけではない。だが、ピッチ上ではサクセスストーリーをかなえた新興クラブも、長期的に強くあろうと思えば、練習環境や育成組織なども含め、あらゆる意味での"クラブ力"が求められるということだ。
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