6位から首位へ。大岩剛監督は
どうやってアントラーズを蘇らせたのか (6ページ目)
―― 大岩監督になってから攻撃に対する選手たちの自由度が増したのは、そうした意図があったからなんですね。
大岩 当然、相手も研究してくるわけで、そこを抑えられたときに自分たちでどうしようというアイデアが足りないように見えました。加えて、自分が指揮を執りだした時期が、ちょうど夏場に入るときでした。だから、しつこいくらいに選手たちにはボールを奪ったら、とにかくテンポよくボールを動かそうと言いました。それで相手を走らせて疲れさせようと。統計的に我々が後半の残り15分で多くの得点を決めているのも、そこに起因していると思います。狙いとしてはそういう意図があったんです。
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現役時代はセンターバックとして、鹿島で3連覇を成し遂げた選手である。だからこそ、チームを立て直す際には、まず攻撃ではなく守備に比重を置くと思われた。だが、守備の人だからこそ、攻撃に着手した。それが守備をも安定させるということを、大岩監督は身をもって知っていたのだ。
選手を引退したチームで、すぐにコーチになり、徐々に監督になる能力を養い、覚悟ができていったことも強みなのであろう。だから、素早く課題を抽出し、短期間で軌道修正することができた。そのひとつひとつに明確な筋道があるように、選手たちに訴えかけるひとつひとつの言葉にも、メッセージが込められている。
(後編に続く)
【profile】
大岩剛(おおいわ・ごう)
1972年6月23日生まれ。静岡県出身。清水商高を卒業後、筑波大を経て1995年に名古屋グランパスエイトに入団。2000年にジュビロ磐田に移籍し、2003年より鹿島アントラーズでプレー。2011年に現役を引退。日本代表として3試合に出場している。引退後は鹿島でコーチを務め、2017年5月に石井正忠監督の解任を受けて監督に就任。
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