6位から首位へ。大岩剛監督はどうやってアントラーズを蘇らせたのか (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

―― 話を聞いていると、指導者として段階を経ていくうちに、徐々に監督になる覚悟ができていったように思います。

大岩 そうかもしれないですね。その過程で、(トニーニョ・)セレーゾが解任され、石井さんが監督になったときに、いずれは自分もこのクラブで指揮を執ることになるかもしれないな、という覚悟がどこかに芽生えました。昨シーズンは代行で指揮したこともありましたし、気持ちとしてはそこで決定的になりました。

―― そのタイミングが、まさに今シーズン途中に訪れたわけですが、実際にチームを指揮する立場になって、まずはどこに注視したのですか?

大岩 (第12節を終えて)7勝5敗で得失点差が±0でした。そのとき首位に立っていたガンバ大阪の得失点差が+17。これだけ得失点差が開いている状況はまずいなと思いました。だから、攻撃に比重を置こうと考えたんです。そうしないと、この差は埋まらないなと。

―― 負けが込んでいる状況で考えたのが、守備ではなく攻撃のことだったんですか?

大岩 そこは自分がDFの人間だったからこそです。守備、守備、守備と、守備のことばかり取り組んでいると、身体が硬直してくるんですよ。負けているということは、どういうことかというと、失点しているってことですよね。だから守備陣にしてみれば、プレッシャーがあるわけです。その状況で守備に取り組み、試合で失点してしまえば、選手たちは「せっかく守備を取り組んできたのに......」という心境になってしまう。それに以前はサイド攻撃が中心で、相手に研究され、読まれてきていた。そこを消され、攻撃がうまくいかなくなると、当然、守備もうまくいかなくなる。

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