6位から首位へ。大岩剛監督はどうやってアントラーズを蘇らせたのか (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

―― というのは?

大岩 これも監督になった今だからこそ、そう思えるのかもしれないけど、選手から指導者として自分の意識を切り替えるまでに3年、もっと細かく言えば5年近く時間がかかったんです。言ってしまえば、選手は個人事業主。正直、自分のパフォーマンスのことだけを気にしていればいいわけですよ。当然、チーム内での立場であったり、チームの中でのコンビネーションなどについても考えますけど、あくまで自分だけにフォーカスしていればいい。でも、現役を引退して、選手からコーチに意識を切り替えようとしても、実際はまだ身体が動いたり、(練習で)人手が足りないところに入れば、なんとなくプレーできてしまう。

 僕で言えば、コーチ1年目のときは、プロ1年目だった(DF昌子)源に教える、(MF土居)聖真と一緒にプレーする。何となく自分が教えながらも、何でこれができないのかなって思ってしまうわけですよ。指導するとき、どうしても自分のやってきたこと、経験してきたことを伝えようとするじゃないですか。すると、どうしても言いすぎてしまったり、教えようとしすぎてしまう。要するに、こうやろう、こうやろうと、「やろうやろう」ばかり。こっちから提案するばかりで、源の話を聞いてあげる、選手ができない理由を聞いてあげることができなかった。まさに、初期段階で起こりやすいミステイクだったんですよね。

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