豊田陽平「あの年、鳥栖は優勝して
すごかったね」と歴史に残りたい (3ページ目)
プラスアルファとして期待したい点は、二つある。
ひとつは、ベルギーから日本に戻った小野裕二の攻撃センスの高さだろう。ベルギーでは不完全燃焼に終わったものの、ボールを受け、前を向くだけで、天性の輝きが垣間見える。感情の起伏が激しいだけに、それをどう操れるかは課題だが、豊富にある熱量はポジティブに捉えることもできる。どこか従順なところがある鳥栖の選手の中で、小野の奔放で鋭く、猛々しい動きは異彩を放つはずだ。
もうひとつは水野晃樹のキックだろう。水野の蹴るボールの質は一見の価値あり。肉体を実戦可能な状態に戻せたら、飛び道具になる。水原戦では4-4-2のサイドMFを託されていたが、相手が疲弊したところで精度の高いクロスを打ち込めたら、必ず敵は動揺する。
「オフに増えた体重を減らしながら、コンディションを整えています。結構走っているんで。オシムさん(ジェフ時代)の下でやっていた頃のような感じを蘇らせたいっすね」
そう語る水野自身、後がないことを心得ている。かつての日本代表MFは、再起することができるか?
それぞれの思いで、鳥栖は新たな船出をする。
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