鳥栖のエース、豊田陽平に聞く「妻の出産と30代からのストライカー」 (5ページ目)
「でも、そこにいられる、というポジション取りが大事で、そこに至るまでのイメージと駆け引きが持てるか、がすべてなんです。その過程では差が出せるのかな、と思っています。しかも動きの中で、次はここを取る、という判断を瞬間的にして、今回は駄目だった、今度も駄目だった、とやりながら最善の機会を探すんです。例えば、バックステップしてポジションを取り直したり。それはカメラで一瞬を写して、次の瞬間の動いている映像を予期して動くのに似ています。すべての流れが見えるわけではないし、うまくいかないことの方が多い。それでも得点に至るまでのイメージを描き続けることで、ゴールが生まれるんです」
鳥栖との契約が残っている豊田は、残留する可能性が高い。チームがどのような体制になるにせよ、エースは重荷を背負う。彼の調子が上がらなければ、チームがどのような状態になるのか―――。今年の後半は、その答えが白日のもとに晒されている。
「来季の目標はマストで15得点ですね。簡単ではないですが」
豊田は自らのゴールがチームの勝利に直結することを知っている。初タイトルへの飢えは、彼の身体に力を漲(みなぎ)らせる。変わりゆく肉体と向き合いながらも、円熟のゴールゲッターはすでに新たな戦いを照準に入れていた。
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