反省が前提です。サガン鳥栖・豊田陽平が語る今シーズンの裏側

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 田村翔/アフロスポーツ●写真

豊田陽平(サガン鳥栖)、今季を振り返る(前編)

 12月26日、天皇杯準々決勝をガンバ大阪と戦うサガン鳥栖。だがそこにエースの姿はないはずだ。その肉体は、とても戦える状態ではないからである。チームの成績は低迷、自身も怪我に苦しんだこの1年を、豊田陽平が振り返った。

今季Jリーグ最終節、FC東京戦の豊田陽平今季Jリーグ最終節、FC東京戦の豊田陽平 2015年11月7日、ベストアメニティスタジアム。ベガルタ仙台戦の開始1分、まだキックオフを告げるホイッスルの余韻が残っていた。ホームチームが攻め立て、右サイドへ大きく展開する。ダイレクトで強い球足のクロスが折り返された。

 中央でマークを外していた背番号11は左足で軌道を変え、ゴールへと流し込んだ。

<1度のチャンスで1点決める>

 その覚悟で挑んだシーズン、彼はそれをきっちりと守った。

 試合は1-0のままで進行していたが、終了3分前に11番は仰向けに倒れたままになってしまう。両足のふくらはぎをつってしまい、両チームの選手に介抱されていた。結局はプレー続行を断念し、ピッチを去る。

<休むとこうなっちゃう。今までに経験したことない感覚かもしれない>

 彼は担架で運び出されながら、そんな感慨を覚えていた。両足がつって動けなくなる経験などしたことなかった。ホーム最終戦で決勝点を決めたヒーローは試合後、「応援してくれた方々に申し訳ない」と自責の念を込め、シーズンを象徴するような試合の流れに、苦みの残る1年を思い返していた。

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