J2天王山、大宮vs磐田に見る昇格候補の「J1での可能性」 (3ページ目)
例えば、昨季J2で優勝した湘南は、J2に降格してもなお、曺貴裁(チョウ・キジェ)監督就任以来貫いてきたスタイルを突き詰めた結果、その前年にJ1で戦っていたときよりも、目指すサッカーの質が向上している印象を受けた。それに比べると、今季の大宮は見劣ってしまう。
他の昇格候補、すなわち磐田、C大阪、福岡にしてもそうだ。福岡に関しては昨季までの低迷(J2での過去3年の成績は18、14、16位)を考えれば、驚異的な急回復は称えられていいが、J1でも戦えるかと言えば、心許ない。率直に言って今季のJ2に、昨季の湘南ほどのインパクトを与えてくれるクラブはない。
もちろん、実際にJ1昇格が決まれば、来季に向けて補強も進むだろう。現段階で来季を占うのは時期尚早ではある。しかし、過去の昇格即好成績を残したクラブにある程度共通するのは、J2で雌伏のときを過ごす中で、すでに継続したチーム作りにおける進歩が、躍進の“予兆”としてあったという点だ。決してシーズンオフの大型補強が理由で強くなったわけではない。
予算規模から言っても、J1と遜色ないレベルのクラブがいくつも顔をそろえた今季のJ2は、かつてないほど粒ぞろいのリーグ戦となった。リーグ全体のアベレージは高く、その意味においてはハイレベルな争いだったとも言える。だが、来季J1での上位進出を期待させるほどに、内容と結果の両面で際立つクラブは見当たらない。
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