J2天王山、大宮vs磐田に見る昇格候補の「J1での可能性」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 さて、こうなると気になるのは(少々気が早いようだが)、J2から昇格するクラブが来季J1でどれだけ戦えるのか、ということだ。というのも、近年のJ1では、J2からの昇格組が1年目からすぐに好成績を残すケースが多いからである。

 2011年の柏レイソル、2014年のガンバ大阪と、2クラブがJ1昇格即優勝の快挙を成し遂げたのをはじめ、2009年にはサンフレッチェ広島が4位、2010年にはC大阪が3位、2012年にはサガン鳥栖が5位と、昇格組の活躍は目覚ましい。今季もまた、湘南ベルマーレがここまで(セカンドステージ第13節終了時)年間9位と健闘を見せている。

 では、来季の昇格組はどうだろうか。

 まず可能性がありそうなのは、大宮ということになるだろう。2位に勝ち点10差をつけての首位は堂々たるひとり勝ちである。

 だが、大宮の戦いぶりには、良くも悪くも大きな変化が感じられない。

 確かに大宮の組織的な守備は堅く、しっかりとボールを動かしながら攻撃を組み立てようとする意図も見える。しかも、それらは今季始まったことではなく、継続性という点でクラブのスタイルは長らく一貫している。冒頭で触れた試合を見ていても、磐田がかつてのJ1王者のプライドをかなぐり捨てて、相手の背後を狙ったロングボールを多用する"現実的な戦い"を選択していたのとは対照的だった。

 とはいえ、一貫したスタイルを継続してきたにもかかわらず、過去毎年のようにJ1残留争いに巻き込まれ、ついには昨季J2降格に至ったのも事実である。そして今季、その継続性を貫く中で、一段上のレベルへ達した感はうかがえない。

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