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ガンバFW宇佐美貴史「ドイツでの悔しさは絶対に忘れない」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Getty Images

 帰国直後は、ドイツで出場機会に恵まれなかったことで、宇佐美のプレイの質を不安視する声もあった。しかし、結果を出して、以前とは違うプレイスタイルを見せることで、そんな周囲の雑音を一蹴。逆に、称賛の声に変えていった。

 そして宇佐美は、FWという新しい自分に手応えを感じた。それは、彼のプレイヤーとしての今後に、大きなプラスになった。

「でもやっぱり、結果を残せたのはドイツの経験があったからやと思います」

 宇佐美は、そう言って笑った。

「ドイツにいたときは、何度も(日本に)帰ってやろうって思っていたけど……」

 ドイツでの2年間、宇佐美の成績には彼らしい華々しさはない。バイエルンでは、リーグ戦出場は3試合のみに終わった。主力として期待されたホッフェンハイムでも、リーグ戦出場20試合2得点で、後半戦はベンチにすら入れない不遇の時間を過ごした。

「ホッフェンハイムにいたときは、めっちゃ面白くなかった。試合に出られない、ストレスが溜まる、イラつく……。しかも、それをぶつけるところがないんで、(精神的には)かなり崖っぷちに追い込まれていた。一方で『自分が結果を出さなかったらこうなるねんな』という反省もあったけど、基本的にはネガティブに思っていました。家族がいなかったら、日本に帰っていたと思う。

(2012年の)ロンドン五輪も、正直、個人的には楽しめなかった。チームがベスト4まで行けたのはうれしいし、誇らしかったけど、自分は何もしていないんでね。自分がチームの輪の中にいないとき、その中心にいるような気持ちで喜ぶことができなかった。そういう経験を、ホッフェンハイムでもしてきた。

 でも、『それじゃあ、あかん』と思ったんです。試合に出られないからといって、どういう振る舞いをしていいのかわからないとか言っているようじゃ、試合に出ても活躍できないって。だから、(日本では)もうイラついたり、腐ったりしないと心に決めたんです。ガンバは自分にチャンスを与えてくれたわけやし、何度も同じことを繰り返していては成長がないんでね」

 試合に出場できないと気持ちが折れてしまう。それが表情に出てしまうのが、宇佐美の欠点だった。だが、ドイツでの苦しい経験がメンタル面の強化につながったようだ。最大の弱点を徐々に克服していったからこそ、昨季は安定したプレイを続け、コンスタントに点が取れる選手になった。

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