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【高校サッカー選手権】
注目の準々決勝。本命・市立船橋に弱点はあるか

  • 粂田孝明(ストライカーDX編集部)●文 text by Kumeta Takaaki(STRIKER DX)
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 3回戦まで終了した第92回全国高校サッカー選手権。戦前から激戦が予想されていたとおり、ここまでも波乱の連続だった。J1のサンフレッチェ広島入りが内定しているDF高橋壮也(3年)を擁する立正大淞南(島根県)が1回戦で敗退し、優勝候補の一角だった東福岡(福岡県)がPK負けを喫して早々に姿を消した。

 特に1、2回戦を見る限り、総合力ではずば抜けた存在だった東福岡が敗れたのは、ひとつの衝撃だった。「大会ナンバー1」とも言われたストライカー木戸皓貴(きど・こうき/3年)をはじめ、攻撃陣には多彩なタレントがそろっていた。2戦合計で9得点0失点と、4強入りとなる"国立への道"は磐石のように思われた。だが3回戦、圧倒的に攻め込みながらも、日章学園(宮崎県)の前に涙を飲んだ。

 そうした番狂わせが起こる中、優勝候補筆頭の市立船橋(千葉県)は、厳しい戦いを凌(しの)いで勝ち上がってきた。とりわけ苦戦を強いられたのは、初戦(2回戦)の中津東(大分県)戦だった。現代の高校サッカーでは珍しい、マンツーマンディフェンスを敷いてきた中津東の守備を崩せずに苦しんだ。

 今大会に臨むにあたって、市立船橋はシステマチックに動く各チームにどう対応するか、そこに焦点をあてて準備を重ねてきた。だから余計に、中津東の守備には困惑した。あの手、この手を尽くしてやっと奪ったのは、直接FKの1点のみ。何とか勝利をモノにしたものの、試合後の選手たちからは反省の弁ばかりが聞こえた。

 それでも、この悲壮感漂う中で得た勝利が、市立船橋を覚醒させた。続く3回戦の水戸啓明(茨城県)戦ではバリエーション豊富な攻撃でゲームを支配。大会屈指のFW石田雅俊(3年)が全得点に絡む活躍を見せるなどして、4-1と快勝した。

 本来の姿を取り戻した市立船橋が準々決勝で対戦するのは、前回大会準優勝の京都橘(京都府)。注目すべき存在は、得点王候補のFW小屋松知哉(3年)だ。しかし初戦(2回戦)の藤枝東(静岡県)戦では思いどおりの仕事ができなかった小屋松。2-0と勝利したものの、自身の不甲斐なさから、「チームに迷惑をかけた」と消え入りそうな声で猛省していた。

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