2014.01.06

オランダ戦の1点目、大迫勇也のゴールのポイントは?

 元日本代表FWである福田正博氏が、ザックジャパンのゴールシーンを分析。得点が生まれた理由や、ポイントとなった選手の動きなどをわ­かりやすく解説。今回取りあげるのは、2013年11月に行なわれたオランダ戦の大迫勇也のゴール。


【日本代表】強豪オランダから決めた大迫勇也のゴール
【福田正博 日本代表スカウティングレポート Vol.31】

国際親善試合 vsオランダ 前半44分 大迫勇也 
日本 2-2 オランダ 
2013.11.16 ベルギー・ヘンク

 今回は、2013年11月のオランダ戦の1点目、大迫勇也のゴールシーンを解説します。

 これは、非常に素晴らしい守備からのいい攻撃でした。ザッケローニ監督が目指す形の典型的な例で、非常にいい形だったと思います。

 ひとつ目のポイントは、まず守備です。前線からしっかりと人を見て、プレッシャーがかかっています。長谷部は、オランダのアンカーのデ・ヨングのところにプレッシャーをかけている。そして、オランダのセンターバックふたりに大迫と本田がプレッシャーをかけ、さらに本田がボールを持っている選手に対してしっかりプレッシャーをかけていきます。

 ここでプレッシャーがかかっていますから、相手はかなりプレーの制限がかかっている。そのため、長谷部もデ・ヨングを押さえています。

 ただ、本来であれば長谷部がマークしなければいけない相手はここ(後方)にいる。ここを長谷部は捨てて、オランダの選手がひとりフリーになっていました。前から本田がプレッシャーをかけたことによって、(オランダの中盤の)フリーの選手にパスが出てくる可能性が非常に高いのですが、そこを吉田がいい判断でしっかりとプレッシャーをかけることができた。

 そして、そこにボールが入ってきたところを吉田がいいプレッシャーでボールを奪うことができた。これが、このオランダ戦の1点目のゴールが生まれた一番大きな要因です。

 デ・ヨングに長谷部がプレッシャーをかけて、吉田がここの(オランダの中盤の)マークに行くということは、オランダの前線は日本のDFとマンツーマンになっています。つまり、今野はオランダのワントップの選手と1対1。しかも相手に広大なスペースを与えているので、この守備は非常にリスクが高いです。ただ、前線で本田と大迫と長谷部がしっかりプレッシャーをかけたことによって相手のプレーを制限できたので、どこにパスが出てくるのが分かった。それによって吉田がいい判断でボールを取れたということです。

 これが、オランダ戦の1点目が生まれた要因の、いいかたちの守備だったと思います。いわゆる攻撃的な守備。相手のくさびにプレッシャーをかけて、吉田がボールを奪うことができたので、動いている間に長谷部が吉田に少し寄った。そして、吉田がボールを奪って素早く長谷部にボールを付けました。その時デ・ヨングが慌てて長谷部にプレッシャーをかけたのですが、長谷部は非常にうまく反転することができた。

 オランダのセンターバックも当然カバーに来ますから、このカバーに来た裏に、大迫がうまく流れて、長谷部も非常にうまくドリブルで持ち運んで、いいタイミングでパスを出した。あのタイミングでないと、オランダのサイドバックがかなり絞ってきていましたから、少し遅れると大迫はシュートを打てなかったと思います。

 大迫が良かった点は、あの難しい状態で、ワンタッチでシュートを打ったということです。流れながらあのボールをワンタッチでゴール方向に蹴るというのは、実は非常に難しい。簡単そうに決めていますが、なかなかああいうかたちで強いシュートを打つことはできません。コントロールしたくなる場面ですが、コントロールしていたら、たぶんオランダのサイドバックにプレッシャーを受けてゴールにはなっていなかったですし、コントロールすると、GKにいいポジショニングを取る時間を与えてしまう。

 GKは、ボールが動く間にステップを踏んでポジションをずらす。ポジションをずらしている間に、FWはいいポジションが取れなくなることがある。大迫のシュートは近いほうのポストのほうに入っていきましたが、あれが少し時間をかけるとGKにもっといいポジションを取られてしまって、たぶんシュートコースはなかった。

 いい守備から、長谷部のいいタイミングでのパス、大迫がディフェンスの裏へ流れて、ワンタッチでシュートを打った。本当に見事な攻撃だったと思います。

 これは、ザッケローニ監督が目指す非常にいい形ですし、ワールドカップで強豪を相手にした時に、このぐらいシンプルに早くゴールに迫らないと、いくら日本の技術があってもなかなか点を取ることはできないと思うので、こういうかたちをたくさん作っていくということが、非常に重要なやり方かなと思います。

 そのためには、チーム全体がコンパクトでなければいけないですし、選手の距離感が非常に重要になってきます。それが非常にうまく表現できたゴールだと思います。

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