オランダ戦で本田圭佑が決めた「日本らしい」ゴールを分析

元日本代表FWである福田正博氏が、ザックジャパンのゴールシーンを分析。得点が生まれた理由や、ポイントとなった選手の動きなどをわ­かりやすく解説。今回取りあげるのは、2013年11月に行なわれたオランダ戦の本田圭佑のゴール。


【日本代表】強豪オランダから決めた本田圭佑のゴール
【福田正博 日本代表スカウティングレポート Vol.32】

国際親善試合 vsオランダ 後半15分 本田圭佑 
日本 2-2 オランダ 
2013.11.16 ベルギー・ヘンク

 今回は、2013年11月のオランダ戦の2点目、本田圭佑のゴールシーンを解説します。

 このゴールは、日本らしいゴールと言っていい。人数をかけて、ゴール前でワンタッチ、ツータッチで素早くボールを交換して、フィニッシュまで行っている。日本がワールドカップで点を取っていくひとつの形と思います。

 自陣の左サイド、長友のスローインから始まっています。遠藤がフリーだったので遠藤にボールが入る。スローインが投げられて、遠藤が受ける前に、実は右サイドバックの内田が早いタイミングで、前線でパスをもらうために動き出しています。

 非常に早い動き出しで、ボールを持った遠藤が顔を上げた時には、もう内田は高い位置にポジションを取っています。

 オランダは、基本的に日本のサイドバックに対してはサイドアタッカーが見ている。マンツーマンで見る形になるんですが、この選手が置いて行かれるぐらい早いタイミングで、非常にいいポジションを取っている。

 この試合、サイドバックの内田と長友は、非常に積極的に早いタイミングで動き出していました。その動き出しが、オランダ戦の2点目のゴールを生んでいます。

 内田の動き出しの早さ、これは、シャルケではいつもやっていますが、代表ではなかなか見られなかった。ですが、このオランダ戦では早い動き出しがありました。そして、この早い動き出しから遠藤が非常にいいボールを内田に出しました。

 サイドバックの内田が上がってきたので、オランダのサイドアタッカーの選手も、遅れてですがプレッシャーに戻って来ます。内田の動き出しが早いので、ちょっと遅れてプレッシャーをかけたところを、この力を内田はうまく使っている。ボールを岡崎に当てて、この選手をうまくかわして逆を取った。内田の動き出しが早かったから、このオランダの選手がアプローチが遅かった。だからこそ、このプレーが非常に有効だった。

 このオランダの選手は守備には参加できずに、岡崎が本田に落とします。内田もいい動きをして、本田からまたワンタッチで内田のところにボールが来ます。ここのつながりは非常に良かったです。距離感が非常にいいので、ワンタッチでボール交換できました。
 
 ここで内田がいい形でボールを持つことができ、頭を上げた瞬間に、大迫が動き出す。この動き出すタイミングは非常に重要です。内田の状態を見ないで勝手に大迫が動き出すと、オフサイドになったり、マークについているセンターバックのプレッシャーをうけやすかったと思うんですが、絶妙なタイミングでした。パスを引き出すことが非常にうまく、いいタイミングで動き出したことによって、内田がパスを出すことができた。そして大迫が相手DFのプレッシャーをもろに受けないで済んだ。

 大迫が簡単に落として、そして本田がまたここから動き直してきて、そしてワンタッチで、難しいシュートでしたが、ゴール。内田のところだけはツータッチですが、それ以外全部ワンタッチ。ワンタッチが2回、3回続くと、ゴールキーパーは反応できないですし、ポジションの修正ができないですから、ワンタッチで落として、本田がシュートを打ったことが、このゴールを生んだ要因だと思います。

 遠藤からのパスを含めて5人がかかわって、細かいパスから相手を翻弄してゴールにした。これは、ワールドカップを見据えても非常に参考になる戦い方です。

「はたいて動き直す」の連続ですが、そういうことをやっていかないと、なかなか1対1に強い相手には勝てない。それを崩すためには、こういう攻撃が一番有効だということを証明するような、見事なゴールだったと思います。

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