検索

【サッカー日本代表】U-20ワールドカップで日本が奮闘 チリのエスタディオ・ナシオナルの深い歴史を紹介「最大の魅力は...」 (4ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【スタジアムの最大の魅力は...】

 僕にとって1978年のアルゼンチン大会は2度目のW杯観戦で、最初は4年前の西ドイツ大会だった。

 そのせいか、「エスタディオ・ナシオナル」に入った瞬間、「4年前に見たベルリンのオリンピアシュタディオンと似てるな」という印象を抱いた。しかし、「どちらもシンプルなデザインなのでこれは偶然の一致なのだろう」とずっと思っていた。

 しかし、のちに『世界スタジアム物語』(ミネルヴァ書房)という本を書く時に調べたら、ベルリン五輪直後の1938年に完成したこのスタジアムは本当にベルリンのスタジアムを参考に設計されたということが判明したのでビックリした覚えがある。

 ベルリンのスタジアムは2006年W杯開催のためにスタンド全面に屋根が取り付けられてかなり印象が変わっている。「エスタディオ・ナシオナル」にも屋根を取り付ける計画があったようだが、実現はしなかった。

 このスタジアムの最大の魅力はバックスタンド後方に雄大なアンデス山脈が望めることなのだから、屋根なんか付けてほしくないものだ。

 チリは食べ物も美味しい。

 なにしろ4000キロ以上の海岸線を持つだけに海産物が豊富だし、ジャガイモやトウモロコシはアンデス山脈が原産地だから品種が豊富だ。

 僕は1990年代から2000年代にかけて、何度もアルゼンチンを訪れた。アルゼンチンでは毎日、安くてうまい牛肉を食べられるのだが、さすがにそれに飽きてくることもある。そんな時には海産物を生かしたチリ料理が食べたくなる。というわけで、ブエノスアイレスには行きつけのチリ・レストランがあったのだが、2011年のコパ・アメリカの時に行ってみたら、店はもうなくなっていた。

 チリはワインでも有名なのだが、ワインの話を始めると長くなりそうなのでやめておこう。

「日本代表が、こんなにいい試合をするんだったら、チリに行くべきだったなぁ」と後悔しきりの今日この頃である。

連載一覧>>

著者プロフィール

  • 後藤健生

    後藤健生 (ごとう・たけお)

    1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7500試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。

【画像】サッカー日本代表 2030年のメンバー予想(フォーメーション)

4 / 4

キーワード

このページのトップに戻る