サッカー日本代表をレベルアップさせる「オランダ組」 小川航基と上田綺世の一撃に期待
瞬間的に身体が反応した。記憶に刻まれていた言葉が、ストライカーとしての野性を力強く後押しした。
「名波さんから『(足を)振れるタイミングがあったら振るように』というのは、この代表活動で毎日っていうぐらい言われ続けてきた。それが、あの瞬間に頭をよぎって。あそこですぐに振る判断ができたのは大きかった」
10月10日に行なわれたパラグアイとのキリンチャレンジカップで、オランダのNECでプレーする小川航基が豪快な右足ミドルを突き刺した。
今季のオランダで活躍中の上田綺世が代表でもゴール photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る 0-1で迎えた21分、前線からの連続したプレスから佐野海舟が小川へ縦パスを刺しこむと、トラップとともにシュート体勢へ移行して迷わず右足を振り抜く。強烈な無回転弾はGKに反応されたものの勢いを止めず、ゴールへと吸い込まれたのだった。
「自然とパッと、自分がシュートを打てる位置にボールをトラップできたところが大きいかな。ああいうところでボールがガシャガシャってなった時に、スパッと縦に入った時はディフェンスもガッと前にいきづらいと思うので、そのなかで判断できたのはよかった」
9月のアメリカ戦では、クロスバーを叩く右足ミドルを放っている。
「インパクトのあるシュートをいつも心がけていて、アメリカ戦でもそういったシュートがありましたけど、ああいうシュートは自分の得意なシュートパターンというか、質かなと思います」
しかし、そのアメリカ戦ではノーゴールに終わった。昨年11月の中国戦以来となるスタメンの機会で、結果を残すことができなかった。
「アメリカ戦はものすごく悔しくて。自分個人としてもそうですけど、ああいうふうに(前の試合から)選手を変えて挑んだ戦いで負けてしまったところも、チームとして結果を残せなかったのも、ものすごく悔しくて。
やっぱりチームがうまくいかないと、個人としてもなかなか機能しないのがある。なので、アメリカ戦からこのパラグアイ戦でまたチャンスをもらえたところで、今回に懸ける思いはホントに人一倍強いものがあった。複数得点したかったですけど、得点を取れたのは自信になるかと思います」
1 / 3
著者プロフィール
戸塚 啓 (とつか・けい)
スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専
門誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より 7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグ ワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本 サッカー』(小学館)







