サッカー日本代表、オーストラリア戦で見えた成果と課題 久保建英のプレーと言葉でひも解く (3ページ目)
オーストラリアを攻め崩せなかったのは、ひとつの教訓と言える。ただ、追いついたことは収穫と言える。中村や伊東純也の投入に見られるように、終盤に格下を叩き潰せるだけの有力選手がいることを証明した。
ただし、W杯本大会でここまで極端な守備戦術で戦ってくるチームはない。世界トップ10のチームは、むしろ日本を下に見て挑んでくる。戦いの構図は大きく変わるだろう。
少なくとも、3-4-2-1が万能なわけではない。現時点では、強豪相手にはかなり懐疑的なシステムだと言える。高いレベルのシステム運用には、センターバックのボールを運ぶ力、ストライカーの決定力が必要で、攻撃姿勢を貫くべきところで"石橋を叩いて渡る"監督のキャラクターなど、不安なところも......。
現状では、選手が所属クラブで切磋琢磨するしかないだろう。欧州のトップレベルでは毎回、その適応力が試される。チームを勝たせるパフォーマンスを見せられるか。
10月19日、久保はレアル・ソシエダの選手として、チャンピオンズリーグにも出場しているジローナと対戦予定だ。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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