サッカー日本代表、オーストラリア戦で見えた成果と課題 久保建英のプレーと言葉でひも解く (2ページ目)
【「えぐったほうが相手は嫌だった」】
久保はシャドーのポジションで、攻撃に活力を与えていた。裏に走ってバックラインからパスを引き出す。コントロールだけで相手を外して堂安にラストパス。縦に入ってクロスを入れ、相手のカットがGKにこぼれるシーンもあった。そして後半12分には、自陣でのインターセプトからのカウンター、久保は右サイドから左足でファーの南野拓実の頭にピンポイントで合わせた。
左サイドの三笘薫とともに、久保が攻撃の軸になっていたのは間違いない。足りないのはゴールだけだった。
「もっとえぐってもよかったと思います」
試合後の久保はそう自戒を込めて語っている。
「思った以上に崩しきれなかったし、危ないシュートも打てていない。縦(のスペース)をあれだけ空けてくれるから、クロスはいけましたけど、中央の3枚(のセンターバック)がいたので守りきられてしまった。5(バック)で引かれて、"中は切るけど、外はどうぞ"っていうイレギュラーな戦い方で......もっとえぐって侵入したほうが相手は嫌だったと思います。(オウンゴールを誘発した)中村選手のように」
久保の解析どおりだろう。
オーストラリアははなから"サッカーを捨てて"きた。5-4-1の編成は欧州や南米で「バスを置く」という古典的な守備固めで、専守防衛のバリケード戦術。攻撃はほぼ考えず、ゴールを守りきって、あとは天運に任せる。サッカーはミスがつきものだけに、それがオウンゴールに結びついたわけだが。
「(森保)監督も言っていましたが、落ち込むような内容じゃない」
久保は言うが、そのとおりだろう。
「他人事のように聞こえるかもしれませんが、最後まで諦めない姿勢を見せられたのはよかったと思います。点を取られる展開じゃないところで失点して、(メンタル的に)落ちてもしょうがなかった。でも、しっかりと立て直し、同点に追いつけました。アジアからの出場枠は増えているし、次に生かせる戦いだったし、全勝が目標でもないんで」
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