パリ五輪でなでしこジャパンをメダルへ導くFWは誰? 昨夏のW杯得点王もメンバー入りへ猛アピール中 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko

【自分らしさと修正力を見せた浜野まいか】

「絶対に次、ゴール決めます!」

 初戦のあと、強い覚悟を持ってこの一言を放ったのは、浜野まいか(チェルシー)だった。この試合、後半開始からの途中出場で前線の右サイドに入ると、右ウイングバックにポジションを変えた清家貴子(三菱重工浦和レッズレディース)をスムーズに生かし、守備も奮闘。しかし、自分自身は生かしきることはできなかった。試合終了のホイッスルが鳴ると、悔しそうに天を仰いだ。

 それでも彼女のプレーは4月のアメリカ遠征とは明らかに異なり、一つひとつのプレーはこれ以上ないくらい無駄な動きが削り取られていた。

「アメリカ遠征では、前からガンガン行ってたんですけど、あとで映像を見ると自分ひとりだけで行ってたんです。自分のよさではあるけど、日本のよさはあそこでちょっと我慢して連動して動くことにある。途中から入るとチームメイトも疲れてて、そこで自分が行ってしまってもいいのかすごく迷いが出てきたんです。でもそれが評価されて、今ここに来ていることも理解していて......」(浜野)

 そんな反省がアメリカ遠征ではあったという。

 そして、第2戦では爆発した。1点ビハインドの後半から入ると、試合を振り出しに戻す同点ゴールを決める。この自身代表初ゴールは、セットプレーの流れから、相手のクリアボールに本能のままに反応し、低い弾道で放ったボレーシュートだった。

 そしてクイックリスタートを裏で受けて決めた2点目は、長谷川唯(マンチェスター・シティ)がFKのボールをセットする前に目が合ったという。「身体の向きを、ゴールに向けた状態にしていたので、唯さんもわかってくれたんだと思います」(浜野)。

 実は第1戦で「(北川)ひかるさん(INAC神戸レオネッサ)のクロスが出てくるって信じてスタートを切っていれば......」というシーンがあり、反省をしていた。オリンピックではここの差が勝負を分けると考えているからだ。しかし、この時は迷うことなく長谷川が蹴り出す前にスタートを切った。狙いどおりにボールが収まると、しっかりと狙ってゴール奪取。

 この2ゴールには、浜野らしさと最大限の修正が詰まっていた。

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