三笘薫に替わって追加召集された『奥抜侃志』って何者だ? 森保監督が抜擢した「生まれながらのドリブラー」 (2ページ目)
【自分がシュートを外したからJ1昇格を逃してしまった】
翌2018年、奥抜はトップチームへ昇格する。プロ1年目はJ2リーグで7試合出場無得点に終わった。自身のプレーをレビューすると、明確な課題が浮かび上がってきた。
「育成年代までは、シュートを決めるよりもドリブルで相手を抜くほうが好きでした。シュートを打てるところで、もうひとつ相手を剥がそうとすることが多かった。結果的にシュートを打たなくて、それで勝てる試合に勝てなかった、ということがあったんです。
トップチームでは、コーチングスタッフから『ドリブルで何人抜いても、点を獲らないと評価されないよ』と言われています。点を獲ることへのこだわりが、プロになってすごく強くなりました」
勝負に目覚めた一戦がある。2018年11月25日に行なわれたJ1参入プレーオフだ。リーグ戦5位の大宮は同6位の東京Vをホームに迎えたが、0-1で敗れてしまう。ビハインドを背負った後半途中からピッチに立ったが、ゴールにつながる仕事はできなかった。
「あの試合で、シュートへの意識、ゴールへの執着心といったものが変わったんです」
プロ2年目は25試合に出場して5ゴールをマークした。17節の京都サンガ戦でシーズン初先発を飾り、その試合で先制ゴールをマークする。1得点1アシストで勝利に貢献したこの試合をきっかけに、エースストライカーの大前元紀からポジションを奪い取り、スタメンに名を連ねていった。
結果への責任を痛感した試合がある。40節の栃木SC戦だ。
前半10分過ぎにカウンターから決定機を迎えたが、ペナルティエリア内からのシュートはわずかにゴール右へ逸れる。試合はスコアレスドローに終わり、大宮はJ1自動昇格圏の2位から3位に転落してしまう。そのまま3位でリーグ戦を終え、J1参入プレーオフでも敗れたのだった。シーズン終了後、奥抜は言った。
「自分が栃木戦でシュートを外したから、J1昇格を逃してしまったと思っています。得点にこだわりながら、チームに対して何ができるかを追求していきたい」
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