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三笘薫に替わって追加召集された『奥抜侃志』って何者だ? 森保監督が抜擢した「生まれながらのドリブラー」 (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • photo by Getty Images

【ニュルンベルクでは特徴が発揮される左ウイング】

 2020年は23試合出場で5ゴール、2021年は17試合出場で3ゴールにとどまった。2020年から背番号11を背負ったが、どちらのシーズンもケガに見舞われ、不本意な成績に終わった。J2の中位から下位をさまよったチームの不振に、引きずられたところもあったかもしれない。

 キャリアの転機は、2022年夏に訪れる。ポーランド1部のグールニク・ザブジェからオファーが届くのだ。

 移籍のタイミングはこれ以前にもあったが、ケガなどの影響で話が進まなかった。海外への憧憬は、幼少期から育んでいる。プロ5年目を迎えていた23歳は「年齢的にもラストチャンス」との決意を固め、アカデミーから過ごしたクラブを離れた。大宮のアカデミー出身選手では、初めての海外移籍となった。

 ポーランドのサッカーは直線的だ。コンビネーションによる崩しよりも、個人での仕掛けが優先される。ドリブルで勝負することへのためらいはない。シーズン開幕後の合流となったが、奥抜は26試合に出場して4ゴールをマークした。

 グールニク・ザブジェでは複数のポジションで起用され、そのなかにはウイングバックが含まれていた。自身よりサイズの大きい選手とのマッチアップを通して、ディフェンス面での気づきを得た。欧州移籍1シーズン目にウニオン・サンジロワーズでウイングバックを務め、守備力を向上させた三笘に通じるところがある。

 そして今シーズン、ブンデスリーガ2部のニュルンベルクへ完全移籍で加入した。10月7日までに消化された全9試合に出場し、2ゴールをマークしている。カップ戦を加えると10試合2得点1アシストとなる。新天地でのシーズン序盤としては上々のスタッツだろう。ポジションは自身の特徴がもっとも発揮される左ウイングだ。

 森保監督は9月の活動後、ニュルンベルクの試合を視察した。1999年生まれの奥抜は東京五輪世代なので、大宮在籍時からそのプレーを追跡している。三笘と同じポジションでプレーする現在の奥抜をチェックしたうえで、指揮官は追加招集へ踏み切ったわけだ。

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