日本人のインサイドキックはなぜ弱いのか? 東大卒のパーソナルコーチが力学的視点からお悩みを解決 (4ページ目)
【ジュニア指導者最大の悩み"なぜボールが浮かないのか"】
小学生のコーチをやっている方たちのよくある悩みに、「子どもたちのボールがなかなか浮かない」というものがあります。これはもっともよく聞くあるあるネタだと思います。
ボールが浮かない原因で一番多いのは、ボールに対して体の軸が真上に来てしまっていることです。蹴り足は股関節を軸に振り子運動をしているので、その軸がボールの真上に来ると、ボールにインパクトする時の蹴り足の動きは地面に平行になります。
ボールを浮かせて強く蹴るためには、ボールの下側を斜め上に蹴り上げる必要があります。
しかし、体がボールの真上まで来てしまうと、蹴り足の振りが平行に向かっているところから無理やり足ですくい上げるような窮屈な姿勢になり、うまく蹴ることができません。
股関節の軸がボールの後ろにあるとキックが浮きやすい(上)。軸がボールの真上にあると窮屈な体勢になる(下)この記事に関連する写真を見る 一方で、正しい蹴り方はボールよりも後ろに股関節の軸が残り、蹴り足が斜め上に振り上がるところでインパクトする蹴り方です。
この時、注意しないといけないのは、体の位置はボールよりも後ろに残すが、軸足はボールの真横に置くことです。
軸足の位置もボールの位置より後ろになってしまうと、ボールの下側にインパクトすることが難しく体勢が崩れてしまうので注意が必要です。
田所剛之
たどころ・たけゆき/2000年8月6日生まれ。高知県出身。東京大学入学後、スポーツバイオメカニクスを専攻、ア式蹴球部でフィジカルコーチを務める。noteでケビン・デ・ブライネのキックを分析した記事が話題になり、4年時には「Kicking lab」を創業して、キックのパーソナルトレーニングをスタート。これまでプロ・アマ含めて1000人以上を担当した。2023年4月に著書『東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方』(日本文芸社)が出版された。
ミズノスポーツプラザ千住●取材協力
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