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日本人のインサイドキックはなぜ弱いのか? 東大卒のパーソナルコーチが力学的視点からお悩みを解決 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

【蹴る瞬間に骨盤を後ろに引く】

 もう一つのポイントは骨盤の使い方です。大きな力を出すには体の中心に近い部分を使うことが重要とはよく言われますが、トップ選手はインサイドキックでも骨盤の動きをうまく活用しています。

骨盤を引くようにして蹴るキック(上)と腰を巻き込むように回転させるキック(下)骨盤を引くようにして蹴るキック(上)と腰を巻き込むように回転させるキック(下)この記事に関連する写真を見る 蹴り足の運動は振り子運動であるとすでに述べましたが、振り子を加速するための方法はいくつかあります。

 そのうちの一つが、振り子の支点側を逆方向に運動させるというものです。これは傘などの長い棒を使った簡単な実験で体感することができます。傘の持ち手を軽く握ってだらんとぶら下げた状態から勢いよく持ち手を動かすと、それとは逆方向に傘の先端が加速するようになります。

 これと同様の原理を利用して、蹴り足側の骨盤を後ろに引くようにすることで蹴り足を加速させるという動きが、トップ選手の速いパスの特徴です。

 これに対してよく見られる蹴り方が、骨盤が止まることなく前に回転していきながら巻き込むようにして蹴るキックです。これでもある程度のスピードを出すことはできますが、骨盤を引く動きに比べると効率が悪く、速く振ろうとした時ほどインパクトの面がずれて横回転がかかりやすくなってしまうので、最適な蹴り方とは言えません。

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