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日本人のインサイドキックはなぜ弱いのか? 東大卒のパーソナルコーチが力学的視点からお悩みを解決

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

キックコーチ・田所剛之氏インタビュー 後編

東大卒のキックコーチで、パーソナルトレーニングが評判の田所剛之氏。インタビュー後編では、日本のサッカーの現場でよく聞かれる「インサイドキックが弱い」「ボールが浮かない」といった選手や指導者の悩みについて、力学的視点から解決方法を教えてくれた。

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【日本人のキックはなぜ弱いのか】

 日本人選手のインサイドキックのパスが弱いと言われることがありますが、その理由に欧州や南米の選手との体格差を挙げる人はいると思います。

 ただ、私はまだその差を挙げる段階にはないと思っています。技術的なところでまだ埋めるべき差があると思っていて、そこの差を埋めることができた時に初めて体格差を議論するべきだと思います。

 今回は強いインサイドキックを蹴るための方法を、初級レベルと上級レベルで一つずつ紹介します。

 1つ目は蹴り足のヒザを曲げて伸ばす動きを利用することです。

ヒザの曲げ伸ばしをうまく使うキック(上)と、うまく使えないキック(下)。インサイドの面を作るのが「×」のほうが早いのに注目(①、②)ヒザの曲げ伸ばしをうまく使うキック(上)と、うまく使えないキック(下)。インサイドの面を作るのが「×」のほうが早いのに注目(①、②)この記事に関連する写真を見る よくあるNG例に、インサイドの面をまっすぐボールに当てることを意識するあまり、蹴り足を一本の棒のように突っ張ったまま振ってしまう蹴り方があります。

 前提として、蹴り足の運動は一種の振り子運動で、振り子は長さが長くなるほど同じだけ振るのに時間がかかり大きな力も必要になります。

 蹴り足を一本の棒のようにして蹴る蹴り方だと振り子の長さが長くなってしまうので、蹴り足のスピードが出づらく振りが大きい分相手に読まれやすくなり、インターセプトを狙われる確率も上がってしまいます。

 一方で、ヒザの曲げ伸ばしをうまく利用する正しい蹴り方では、ヒザを折り畳んで足を振ってくることで振り子の半径を短くすることができるのに加え、最後にヒザ下の振りを利用して蹴り足を最大限に加速することができます。

 また、ヒザ下の振りを蹴り出し方向に向けることが重要なので、蹴る直前までヒザが外を向かないように意識してみましょう。

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