イングランドで日本とは違う「ファウル」のすごさを実感。なでしこジャパンの清水梨紗と林穂之香が語る現地での刺激的な生活 (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・撮影 text&photo by Hayakusa Noriko

――清水選手は岩渕真奈選手(アーセナル)の試合もよく見に行くと言ってましたが、ロンドン市内でも多くのビッグクラブが男女ともにあって、少し動けば極上のサッカーに触れることができるという環境はいかがですか?

清水 サッカーの試合を観に行く回数が増えました。ウェストハムの男子のスタジアムも近いし、毎週ホーム戦はチケットももらえるんです。初めて見た試合がウェストハムとトッテナムの試合で、衝撃を受けました。何万人も入るスタジアムに自分は行ったことがなかったので、日本にはないサッカー文化に触れてます。サポーター同士がけんかしたりもしてますし(苦笑)。熱い人たちがいるっていうのはいいですよね。声も大きいから、少なくてもそう感じない時もあります。

 試合後にアウェイでもホームでもピッチ脇でサイン対応するんですけど、私は日本にいた時は育成年代だったっていうこともあるんですけど、ほとんどやったことがなかったので、ああいうのをもっと日本でもできたらいいなって思います。

――代表でのステップアップを望めば、当然ウェストハムでのステップアップにつながります。今シーズンウェストハムで掴みたいものとは?

清水 今のところ、上位チームに勝ててないっていうか、最初得点するけど逆転されることも多いので......ウェストハムとしてもっと上位に食い込みたいです。この前の最下位のレスター・シティ戦も押されながら勝った。そういう試合が多くなってくるチームではあると思うんですけど、どう勝ち点を獲っていくか、同勝ちにつなげていくか。そういう戦い方が代表にもつながってくると思うので、こだわっていきたいです。

 相手の優位に持ち込まれることもあるんですけど、最後に点を獲って勝つとか、セットプレーから得点とかそういうパターンがあるチームでプレーするのは初めてだったので、やっと雰囲気を掴めてきてます。梨紗さんも言ったように上位チームに勝ちたいので、中盤の連係をもっと深めてボールを持って展開をしていきたいです。

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 世界最高峰と称されるスーパーリーグには現在、清水・林の他に岩渕、長谷川ら代表選手が活躍している。アーセナルは先日の試合でホームに4万人を集めていた。そんなホットなサッカー文化にもまれながらW杯までの8カ月でどう変貌を遂げるか、彼女たちの成長が、なでしこジャパンの希望に直結している。

【著者プロフィール】早草紀子(はやくさ・のりこ)
兵庫県、神戸市出身。東京工芸短大写真技術科卒業。在学中の1993年よりJリーグ撮影を開始し、フリーランスとしてサッカー専門誌などにコラムも執筆。1996年に日本女子サッカーリーグのオフィシャルカメラマンを担当し、女子サッカー報道の先駆者として、聡明期を支えた。現在はJリーグ・大宮アルディージャのオフィシャルフォトグラファーや、2021年からは女子プロサッカーのWEリーグのサイトにて選手インタビューを担当している。著書に『あすなろなでしこ』『なでしこの教え』『紡 なでしこジャパンが織りなす21の物語』(以上、武田ランダムハウスジャパン)、『がけっぷち上等!』(集英社)など。

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