三笘薫と田中碧、以心伝心のスーパーゴール。「なぜあそこに走り込んでいたのか...」「ワンチャンあるかなと」 (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

ゴールは積み重ねのご褒美

 実際にデュッセルドルフは2部ではあるが、ひと筋縄にはいかず、田中は苦労し時間をかけてスタメンに定着している。そんな、ドイツチャレンジが報われた感じのあるゴールかと聞いてみた。

「いや、別にそういうのはないですけど、シンプルにその自分の人生が少し報われたとは思う。ただ、自分が報われたのは一瞬のこと。

 報われるっていうのは1年間通して何かやり遂げた時に、自分が頑張っていてよかったなと感じるということだと思います。だけど今回に関しては、ワールドカップでこうやって点を取れたのは一瞬のご褒美がきただけだと思うので、こういうのを積み重ねていって自分がまた、よりいろんなものを手に入れられるんじゃないかなと」

 このドイツでの1シーズン半だけが報われたのではなく、もっと長いサッカー人生が報われたと感じている。田中には「報われる=頑張ってよかったな」と思う瞬間が、次戦のクロアチア戦でも訪れるはずだ。

【筆者プロフィール】了戒美子(りょうかい・よしこ)
1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)

★中村俊輔選手との鼎談全文(合計33ページ)収録★
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「中村憲剛×佐藤寿人 日本サッカー向上委員会」が一冊の本になった!

 書籍名は「ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話」

 ふたりが願う「日本サッカーのさらなる向上」を実現するため、さまざまなテーマに沿って対談形式で本音をぶつけあう。また、カタールワールドカップ直前企画として「ふたりの思い出のワールドカップこぼれ話」、さらにはふたりが熱望した元日本代表MF中村俊輔選手を招いて豪華な「スペシャル鼎談」も収録。プロとして20年近く現役を続けられたふたりの言葉は、「サッカー以外の人生」にもきっと役に立つ。

<中村憲剛さんからのコメント>
「長く第一線でやれたのには理由があります。その要因を紐解くことは、サッカーだけではなく、おそらくサッカー以外の社会や組織にも当てはまること。その『ヒント』になるようなものが、この本には詰められていると思います」

<佐藤寿人さんからのコメント>
「僕らはスポーツの世界で経験してきたことを話していますけど、それをうまく変換して『自分事』として捉えていただき、それぞれの環境で生かしてもらえたら。サッカーをやってきたなかで学んだことは、人生にも役立つんです」

【書籍名】 ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話
【発 行】 集英社
【発 売】 2022年11月14日(月)
【定 価】 本体1,700円+税

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【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

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