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若き日本代表たちが東京五輪の雪辱を果たす。「あの左足でやられたのは、今でも忘れない」 あまりに劇的で出来すぎたストーリー

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 事実は小説よりも奇なり、とはよく言ったものだ。

 ワールドカップのグループリーグ第3戦で、日本はスペインに2-1と勝利した。しかも、初戦のドイツ戦に続き、1点リードされながらの逆転勝ちである。

 前半は最少失点に抑え、後半勝負――。なるほど、結果が出た今となってはドイツ戦同様、事前のプランどおりに進んだ試合だったと言えるのかもしれない。

 しかし、前半の日本の出来はひどかった。

「早い時間に先制されて、前半は見てのとおり、すごく苦しい展開だった」(MF守田英正)

 3-4-2-1というより、実質5-4-1で守りを固めることになった日本は、スペインに圧倒的にボールを保持され、前半12分にして早くも失点。その後も自陣で守備に追われる時間が続き、どうにかボールを奪ってもパスをつないで前進することができず、すぐにスペインにボールを奪い返された。

「5-4-1で低く守ってカウンターというのは、前半の最初からイメージはあったが、(スペインは)僕たちの守備の仕方を見てプレーを選べるような選手ばかり。こっちは守備にパワーをかけて、(ボールを)奪ったあとに(攻撃に出ようにも)体力がない、みたいな現象が起きてしまった。(試合前の)イメージどおりにはいかなかった」(守田)

 その間には、クリアミスあり、パスミスありと、みすみすボールを手放すことも少なくなかった。

 結果的に、前半は最少失点で終了。「焦れずに追加点をとられなかったことをプラスにとらえるべき」(守田)だったとはいえ、後半に何かが待っているとは想像しにくい試合内容だったことは否定できない。

 ところが、である。

 日本は後半開始から、フォーメーションはそのままに、MF久保建英に代えてMF堂安律を、DF長友佑都に代えてMF三笘薫を投入するや、前線からのプレスを強める。

 これに面食らったのか、後方へボールを下げるスペインに日本のプレスが襲い掛かり、敵陣深くでボールを奪うと、後半48分、堂安が豪快な左足シュートを叩き込んで、スコアはたちまち1-1に。

 さらには、後半51分、右サイドからの堂安のクロスが逆サイドに流れ、ゴールラインを割ったかに見えたボールを三笘が折り返すと、そこへ飛び込んできたMF田中碧が体ごと押し込んだ。

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