若き日本代表たちが東京五輪の雪辱を果たす。「あの左足でやられたのは、今でも忘れない」 あまりに劇的で出来すぎたストーリー (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

「人に強く(プレッシャーをかけに)いくことを意識してやったら、相手も圧を感じてミスが増えたり、いい(ボールの)奪い方もできて得点にもつながった」(守田)

 時間にしてわずか5分足らず。電光石火の逆転劇。

 しかも、三笘が際どく残したボールがゴールラインにかかっていたのは、おそらく数ミリ程度。長い協議の末のVAR判定を味方につけた劇的な逆転ゴールだった。

後半51分、田中碧が逆転ゴールを決めた後半51分、田中碧が逆転ゴールを決めたこの記事に関連する写真を見る 正直、理屈では説明がつかない。

 確かにドイツ戦は、1点ビハインドの後半開始からフォーメーションを変え、徐々に攻撃的な選手の数を増やし、と段階を踏んだ反撃策が徐々にハマり、日本が主導権を握るなかでの逆転劇だった。

 しかし、スペイン戦は違った。

 フォーメーションは変わらず、堂安と三笘を入れただけ。大胆な選手交代で極端に攻撃志向を強めたわけではない。

 加えて、日本のプレスが機能し、スペインを押し込んだのは、2ゴールを奪った時間を含め、ごく限られた時間のみ。その後は再びスペインがボールを保持し続け、日本が引いて守る展開が続いた。前半に比べれば日本のカウンターが増えたと言っても、再三相手ゴールを脅かしたわけでもない。

 にもかかわらず起きた、瞬間的な怒涛の反攻。スペイン側の視点に立てば、あたかもエアポケットに入ったような"魔の時間"だったに違いない。

 もちろん、今となれば勝因はいくつも挙げることができるだろう。後半勝負の交代策がハマったから。粘り強く守り、最少失点に抑えたから、など。

 だが、こんなにも奇想天外な逆転勝利を事前の台本に沿って演じることができるなら、なぜコスタリカ戦であんな負け方をしてしまうのか。いくらなんでも、ここで起きたすべてをプランどおりと言ってしまうのは無理がある。

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