中村憲剛が期待する「後輩」三笘薫と田中碧。「上田綺世とのコンビは楽しみ」「盤面で見られる目を持っている」 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Sponichi/AFLO

── 田中選手はなんでも器用にこなすイメージですが、憲剛さんが考える一番の強みってなんでしょうか。

「チームを回すことが上手ですね。ゲームを俯瞰して見る能力をかなり積み上げてきていると思います。試合を盤面で捉えることのできる能力は、みんなが持っているわけじゃない。状況に応じて自分がどう振る舞えば、チームにとって一番いいかを考えられる選手なんです。

 初めからその能力を持っていたわけではないですけど、オーストラリア戦(3月24日@シドニー)を見た時に、その部分の成長をすごく感じました。チームのために何をすべきか。周りの選手に何を促すべきか。ボールコントロールやフィジカル能力ももちろん成長してきましたが、試合の調整力がものすごく備わってきたと感じています」

── もちろん田中選手にも、多くのことを伝えてきたんですよね。

「碧に関しては、段階を踏んでアドバイスをしてきました。アカデミー上がりなので、止めて蹴るところの技術はしっかりしていましたが、線は細かったので、すぐには活躍できるとは思っていませんでした。

 それでも彼は、よく人を見ているし、これは最近見た映像で知りましたけど、意外と順序立てて物事を考えていたんだなと。1年目、2年目と着実にステップを踏みながら、3年目にはしっかり主力になりましたから」

── 代表でも欠かせない選手へと成長を遂げました。

「碧は自分のことをよくわかっている選手です。『特長がない』と彼はよく言うんですけど、それは本心だと思います。

 めちゃくちゃドリブルがうまいわけでもないですし、パスがめちゃめちゃ上手というわけでもない。ディフェンスがとてつもなく強いというわけでもないですけど、その項目どれもが高水準で、何でもできるようになりたいという気持ちが強い人間です。

 それとさっき言ったように、盤面で見られる目を持っているのが大きいですよね。だから、守田(英正)と碧のふたりが出たオーストラリア戦で、日本が主導権を握れたのは偶然ではないと思っています。彼らが相手を見てプレーしたことで、日本に流れを持ってきましたから」

◆続き>>「川島永嗣」編はこちら>>中村憲剛がベテランの重要性を力説「川島永嗣のひと言で救われる選手もいるはず」

★中村俊輔選手との鼎談全文(合計33ページ)収録★
↓↓↓↓↓↓↓↓
webスポルティーバの大人気対談
「中村憲剛×佐藤寿人 日本サッカー向上委員会」が一冊の本になった!

 書籍名は「ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話」

 ふたりが願う「日本サッカーのさらなる向上」を実現するため、さまざまなテーマに沿って対談形式で本音をぶつけあう。また、カタールワールドカップ直前企画として「ふたりの思い出のワールドカップこぼれ話」、さらにはふたりが熱望した元日本代表MF中村俊輔選手を招いて豪華な「スペシャル鼎談」も収録。プロとして20年近く現役を続けられたふたりの言葉は、「サッカー以外の人生」にもきっと役に立つ。

<中村憲剛さんからのコメント>
「長く第一線でやれたのには理由があります。その要因を紐解くことは、サッカーだけではなく、おそらくサッカー以外の社会や組織にも当てはまること。その『ヒント』になるようなものが、この本には詰められていると思います」

<佐藤寿人さんからのコメント>
「僕らはスポーツの世界で経験してきたことを話していますけど、それをうまく変換して『自分事』として捉えていただき、それぞれの環境で生かしてもらえたら。サッカーをやってきたなかで学んだことは、人生にも役立つんです」

【書籍名】 ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話
【発 行】 集英社
【発 売】 2022年11月14日(月)
【定 価】 本体1,700円+税

◆ご予約はこちらから>> 「集英社・書籍案内」 「Amazon」 「楽天ブックス」


【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る