森保ジャパンの序列に「大きな変化があるのではないか」。欧州サッカー日本人選手の出来に明暗で福田正博が指摘 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

躍動する東京五輪世代

 もうひとりのCB冨安健洋。昨夏はアーセナルに加入してすばらしい活躍をしたが、その代償というわけではないだろうが、度重なる足の故障に苦しんだ。

 アーセナルが今季開幕から好調なこともあって、冨安も足の状態を見ながらプレータイムを限定して大事に使われるスタートだった。

 9月8日のヨーロッパリーグではついにフル出場。ただ、負荷と疲労が蓄積されたなかで強度の高いプレーを続けることへの不安感はまだぬぐえない。

 それだけに他の選手たちも含め、CB陣の各所属チームでの今後のパフォーマンスは、日本代表にとって大きなポイントになるだろう。

 攻撃陣のところでは、森保監督は大きな変化を取り入れるのではないかと思う。というのも、東京五輪世代がそれぞれの所属クラブで新シーズンに躍動する姿がすばらしいからだ。

 久保建英は、ボールを保持しながら戦うことに長けたレアル・ソシエダに移り、彼の持つテクニックやスキルが生かせるようになっている。堂安律もブンデスリーガのフライブルクに移り、持ち前のゴールに向かう迫力を発揮できている。

 三笘薫(ブライトン)もプレミアリーグでドリブルからの切り崩しで存在感を示している。旗手怜央(セルティック)はチャンピオンズリーグでレアル・マドリードというレベルの高い相手に対しても通用するところを見せてくれた。

 東京五輪は開催が1年延期になって、その間に急成長した三笘薫や旗手怜央が五輪代表のチーム構成に大きな変化をもたらして主力となった。ワールドカップでも同じことが起きる可能性は十分にある。

 ワールドカップも例年なら6月開催だが、今回は11月下旬からの開催。この3カ月ほど生まれた時間によって、東京五輪の時と同じように急成長している選手の勢いを、森保監督はしっかり日本代表に取り込むのではないか。それくらい東京五輪世代がいい状態にあるのだ。

 理由のもうひとつには、南野拓実の所属クラブでのパフォーマンスがある。新天地モナコ(フランス)で結果が出ないことで、出場機会が減りつつあるのだ。

 ワールドカップに向けてコンディションを高めるためには出場機会は多いほうがいいだけに、南野もリバプールから出たのだと思う。だが、現状のパフォーマンスが続くようだと、コンディション面や試合勘のところを考慮され、日本代表でほかの選手を起用する決断を下されても仕方がないだろう。

 なぜなら、今回のワールドカップはシーズンを中断して開催されるため、これまでなら取れた大会前1カ月ほどの準備期間がないからだ。シーズン中断前の試合が終わってから1週間ほどで開幕を迎えるだけに、所属チームで試合に出ながらコンディションを高いところで保つ重要度は無視できない。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る