加地亮の日本代表ベストゲーム。「ヒデさんや俊輔さんとは喋った記憶がない。それでよくサッカーができたな」 (5ページ目)
「(日本代表に選ばれたことで)うまい選手だったり、対戦相手の選手だったりっていうところからの気づきが、本当に自分を成長させてくれました。
日本のなかでもそうだけど、世界にはもっとうまい人がいるんだって気づけたことが自分の新しいチャレンジにもつながったし、努力をしないといけないという気持ちにもなりました。今までの頑張りでは世界には通用しないっていうところはよく感じさせられていましたからね。そういう環境に僕は成長させてもらったなって思います」
しかしながら、変わらなかったものもある。
その後も長く日本代表で活躍してきた加地は、デビュー戦から変わることのない思いを常に胸に留めてきた。
それは、ただただ必死にプレーしたチュニジア戦を終え、ロッカールームに戻った時、ふいに湧き上がってきた感情である。
「この初招集初出場の気持ちを絶対に忘れてはダメだな、と。こういうプレーをずっと続けていくんだって思ったし、それは、その後もずっと僕の気持ちのなかにありました。
僕は、サッカー選手にとって"慣れ"が一番怖いことだと思うんです。慣れてくると、いろんな経験が邪魔をしてくるんで。だから、常に新鮮な気持ちでアグレッシブに前へ出る。それは絶対に忘れてはいけないなって。あのとき、そう思ったことをよく覚えています」
加地 亮(かじ・あきら)
1980年1月13日生まれ。兵庫県出身。滝川第二高卒業後、セレッソ大阪入り。以降、大分トリニータ、FC東京、ガンバ大阪、チーヴァスUSA、ファジアーノ岡山でプレー。日本代表でも活躍し、2006年ドイツW杯に出場した。国際Aマッチ出場64試合、2得点。
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