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「本気の世界とは圧倒的な差がある」U-24日本代表がまたも思い知らされた壁 (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 PKを決められ、先制を許した日本はペースがつかめないまま、わずか9分後にFKから追加点を奪われてしまう。これで0-2。

「自分たちが、この前(グループリーグ)のメキシコ戦でやったようにやられたというか、最初に決められてゲームをうまく進められた。やりたいことをやられた」(田中)

 動きが重く、ミスが目立つ日本は、後半にもCKから失点。スコアは絶望的な0-3まで広がった。

「3失点もしたら勝てない」(旗手)

 日本は78分、途中出場の三笘薫が1点を返しはしたが、その後の得点機は生かせず、1-3で試合終了。2012年ロンドン五輪と同じ4位で大会を終え、またしてもあとわずかでメダルを逃す悔しい結果となった。

「9年前と同じ悔しさをこの世代に与えてしまったことに、すごく責任を感じる。『準決勝までいったのに。またか』と思われるような結果になってしまった」(酒井)

「全員が全員、自信を持ってやれば、あれくらいの相手なら圧倒できるチームだったと思うので、すごくもったいない」(久保)

 同時に、厳しい現実を見せつけられた結果でもあった。

「世界は遠いなっていうことを、この2戦で突きつけられた。(親善試合ではない)本気の世界とは圧倒的な差がある。どうにかしてこの差を埋めていかないと、自分たちが思っている以上に彼らは成長している」(田中)

 自国開催の五輪に向け、"東京五輪世代"は過去に例がないほど手厚く強化されてきた。国内での親善試合だけでなく、海外遠征も幾度となく繰り返し、五輪本番でベストメンバーが編成できるよう、選手が所属する海外クラブとも丁寧な交渉を重ねられた。

 そして最後の仕上げが、「史上最強」とも称されたオーバーエイジ3選手の補強。それでも、メダルには手が届かなかった。

「メキシコは勝ちに値する試合をしたと思う」(吉田)

 うつむく日本選手の傍らで、メキシコの歓喜が爆発していた。

(おわり)

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