内田篤人がネイマール相手に奮闘。日本代表はブラジルに真っ向勝負を挑んで散った (2ページ目)
その後、日本は果敢に反撃へ出ている。
右サイドの内田篤人がすばらしい準備動作と読みで、ネイマールを完璧に封じた。その奮闘は賞賛されて然るべきだろう。当時、内田は間違いなく世界最高のサイドバックのひとりだった。
「ネイマールに対しては、『飛び込まない、逆を取った後がうまいので、先を読む』を意識していました。ボランチとセンターバックとの連係は自分の中の判断で、1回やればイメージはできるので、ほんとギリギリのところで(抑えていました)」(内田)
攻撃では、本田圭佑が半年後にミランの10番として迎えられる実力を見せていた。得意のFKを蹴って、敵GKを慌てさせる。自らボールを奪い、展開させ、走り込んでシュートを合わせ、無理な体勢から利き足ではない右足でシュートを放った。
健闘。そんな言葉が与えられてしかるべきだろう。
だが、ブラジルはリードしてから、意図的にペースを落としていた。強者の余裕だろう。相手を引き込みながら消耗させ、カウンターを狙い、「勝負どころ」を虎視眈々と狙っていたにすぎなかった。
「前半は精神的に劣勢でしたが、『最低1-0でも(いい)』というのはあって、後半、絶対にやれるチャンスがあると狙っていました。それなのに、相手にやられてしまった」(香川真司)
後半3分だった。右サイドのダニエウ・アウベスが狙いすましたクロスを送る。ゴール前を斜めに横切り、それをパウリーニョ・サントスが受ける。彼もエリア内でフリーになっていて、力強く右足を振り切った。
「ワールドカップ優勝なんて、笑われるレベルだった」
長友佑都は後にそう明かしているが、日本はデリケートな時間帯でプレーをマネジメントできていない。まるで、師匠のしごきを受けているようだった。そして試合終了間際、前がかりになって隙を見せ、ダメ押しとなる3点目をジョーに放り込まれた。
ブラジルサッカーの本質は、陽気さや明るさ、それが導き出す自由闊達さでしばしば語られる。確かに、「ジョゴ・ボニート」(美しいプレー)と言われる自由奔放な即興的プレーは、彼らのアイデンティと言えるだろう。ロナウジーニョやネイマールはその筆頭格だ。
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