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内田篤人がネイマール相手に奮闘。日本代表はブラジルに真っ向勝負を挑んで散った (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

◆日本代表が南米の強豪を下した歴史的一戦。指揮官は「犠牲的精神」を強調した

 しかし、ブラジル人選手の真価は、人並み以上に優れたサッカーに対する適応力にある。流れを読む目、と言ってもいいかもしれない。決まった型がないことで、なんにでも成り代われるのだ。

 そのメンタリティの奥には、サッカーへの覚悟が透けて映る。

「自分は何が何でもチャンピオンになりたいんだよ」

 かつてインタビューした川崎フロンターレのブラジル人ジュニーニョは笑顔を浮かべながら、そう真剣に語っていた。

「僕はジュニーニョという名前を、イメージを、このチームに残したい。『自分がたしかに川崎にいた!』という証なのかな。それで、またブラジル人選手がこのチームに来られるように。そして次に来たブラジル人が、『ジュニーニョというブラジル人が川崎にいたんだ』とリスペクトされる選手になれたら、最高だよね」

 ブラジルの選手は、海を越えて降り立った町で、自分の居場所を作る。彼らが悲壮感を漂わせることはないが、不退転の決意で取り組んでいる。その結果、サッカー発展途上国のリーグで英雄になるだけでなく、強豪国のリーグでも貴重な戦力となって、やがて代表選手にまでなっているのだ。

 日本サッカーがまだ足りないもの。それは、ブラジルを写し鏡にすることで見えてくるかもしれない。

<柔軟な順応性と確固たる信念。相反した二つを、適切に使える〝撓(たわ)むようなしたたかさ">

 懐の深いブラジルのサッカーと比較すると、日本サッカーはまだ単調なのだろう。その一本気なところ、律儀さが功を奏すこともある。しかし、それに甘んじてはならない。

 過去12戦、日本代表はブラジル代表に2分け10敗。まだ一度も勝っていない。
(つづく)

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