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意義深いコートジボワール戦。
鎌田・伊東が南野・堂安を上回る点とは (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

 リバプールとフランクフルト。UEFAクラブランキングでは、両者は10位(リバプール)対41位(フランクフルト)の関係にある。選手としてのステイタスでは断然、南野に軍配が上がるが、日本代表の1トップ下に視点を絞ると、鎌田のほうが輝く存在に見える。

 日本の1トップ下は、大迫勇也ではなく、鈴木武蔵タイプのCFの下で構える場合は、相手DFに背中を向けたポストプレーも求められる。南野が不得手とは言わないが、この点では鎌田のほうが数段上だろう。プレーの幅の広さという点で、南野に勝る気がする。

 森保監督は後半16分、南野を交代で投入しているが、交代相手は左ウイング、久保建英だった。左ウイングとして原口元気を投入した後半28分の交代では、1トップの鈴木武蔵をベンチに下げ、鎌田を1トップに、南野を1トップ下へと玉突きのように移動させた。

 森保監督は、鎌田を最後まで攻撃陣の真ん中付近に据えて戦った。2022年カタールW杯に向け、1トップの選択肢が大迫しかないサッカーから脱皮を図ろうとした時、鎌田の重要性は今後、いっそう増すことになるだろう。

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 伊東純也はカメルーン戦に続く活躍だった。前戦は後半からの出場で、ポジションも3-4-2-1のウイングバックだった。右ウイング(4-2-3-1の3の右)で出場したこの日とは、ポジションが微妙に違ったが、韋駄天ぶりを発揮した前戦の流れそのままのプレーだった。

 カメルーン戦に先発した堂安と比較すると、その違いはより鮮明になった。堂安のドリブルが内に入りやすいのに対し、伊東は縦に進む。ゴールライン際まで進出し、折り返しを狙う。伊東の方が堂安より、攻撃に深みをもたらすことができるのだ。

 右利きが右を縦に抜いて出るプレーは、一般的に難易度が高いとされる。左サイドから内に切れ込むプレーの方が簡単だ。右利きの右ウイングというのはそうした意味で貴重だ。伊東のセールスポイントそのものになる。右利きの左ウイングではないところに伊東の価値がある。

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