意義深いコートジボワール戦。
鎌田・伊東が南野・堂安を上回る点とは (3ページ目)
コートジボワール戦で左ウイングを務めた久保建英は、言わずと知れた左利きだ。左利きの場合も一般的に、右より左ウイングの方が難易度は高いとされる。左では力を十分に発揮できない堂安を例にとればわかりやすい。
左利きにもかかわらず、左ウイングの位置から縦に抜いて出るプレーを不得手にしない久保。右利きにもかかわらず、右ウイングの位置から縦に抜いて出ることを不得手にしない伊東。
この2人によって築かれる左右の関係が、日本のサッカーに深みをもたらしていた。コートジボワール戦のサッカーは、左を中島、右を堂安が務めた森保ジャパン結成当時の関係より断然、ピッチを幅広く有効に使えていた。効率的なサッカーができていたのである。
しかし、それでも日本はコートジボワールに対し、47対53の関係を強いられた。ボール支配率で後れを取った。勝つには勝ったが、もう一回戦えば、コートジボワールが勝つのではないかという印象を与えたことも確かだった。
サッカーは支配率がすべてではない。しかし、身体能力の高い相手をいなそうとすれば、ボールを奪いに行く時間より、ボールを保持する時間を長くした方が得策だ。47対53は、できれば逆転させたい数字になる。
そのためには、相手からプレスを浴びにくいピッチの両サイドで、ボールを保持する時間を増やすことが求められる。
日本は先述のとおり、伊東、久保がサイドを突いたが、その大半は2人の単独攻撃だった。つまり、常に勝負を強いられていた。そこでの1対1に敗れれば即、相手ボールに転じる。これでは支配率は上がらない。
だが、これにサイドバック(SB)の室屋成(右)、中山雄太(左)が、伊東、久保を追いかけるようにサポートに入れば、プレーの選択肢は増える。支配率も自ずと上がる。
特に日本の右サイドはこの日、SBが上がりやすい状況にあった。室屋の対面で構えていたジェルビーニョが、守備をサボっていたからだ。室屋が上がっても、一緒にマークについて下がってこなかった。
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