日本サッカーは名FKキッカーが絶滅の危機。元祖名手・木村和司の嘆き (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

――当たり前のことですけど、やはり決めるのは大事ですね。

「大事よ。試合で10番にボールが集まってくるよな。それはやっぱりうまいからよ。あいつにボールを出したら取られないとか、あそこからええ展開になっていくとか。サッカーはやっぱりそう。結果を出して信頼を得ないと、ボールなんて出てこない。そのなかでもやっぱりゴールを決めないといけないと思う。FKだって1回でも決めれば、見ているほうも『こいつが蹴れば何かが起こりそうだな』って期待感が出てくるから」

――時代と共に、その日本の10番のイメージも少し変化していきましたよね。

「たしかに俊輔のような昔の10番タイプはあんまり出てこなくなったと思う。でも、なんだかんだサッカーのなかには10番がいるし、ワシは必要だと思う。それにやっぱり俊輔のFKは見たいよ。ええところでファールもらったらワクワクするじゃろ。ワシだったら、ええところでファールがあって、もしベンチに俊輔がいたら絶対に出す。俊輔にはまだそれだけの価値があると思う」

――そんな中村選手を超える選手がこれから出てきてほしいと願うのですが、最近の若い選手をどう見ていますか?

「久保建英はまさにメッシだと思う。日本代表でも建英がFKを蹴るようになって、エースになっていったらええと思うわ。あいつが蹴ったら周りの選手も文句は言わんだろう。右で言えば、いまの代表の10番をつけてる中島翔哉もええと思う」

――Jリーグの若手はどうですか?

「いちばん面白いと思うのは、川崎フロンターレの三笘薫。彼がFKを蹴ったら、どんなボールを蹴るのか見てみたいよな。ああいうアイデアがあって、テクニックがある選手はワクワクするものがある。FKを蹴らせたって、絶対面白いボールを蹴ると思うよ」

――プレーを見ていて、やはりセンスを感じますか?

「やっぱりパスとか、蹴り方とかを見ればわかるよね。三笘に限らず、ほかの若手もなんだかんだいい選手は出てきていると思う。それはワシらの頃と比べれば、世界のいろんなトップ選手のプレーを簡単に見ることができるのが大きい。若い選手のボールの持ち方を見ても、海外のトップ選手のプレーを参考にしているんだろうなと感じるよ。そんな環境でサッカーができてええなと思う」

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