2020.09.25

日本サッカーは名FKキッカーが絶滅の危機。元祖名手・木村和司の嘆き

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

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 直接フリーキック(FK)からのゴールは、昔から日本サッカーの武器で、これまで多くの名手を生み出してきた、はずだった。ところが中村俊輔&遠藤保仁らの活躍以降、代表でもJリーグでもハッとするような名FKシーンを見ていなくはないか? なぜ名手が出てきていないのか。この寂しい状況に、かつての名キッカーはどう思っているのか。近頃「日本サッカー殿堂」入りが発表された、木村和司氏を訪ねた。

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なぜ日本から名キッカーが消えたのか。木村和司氏に話を聞いた photo by Sportiva――日本サッカーは木村和司さんをはじめとして、数々のFKの名手を生み出してきました。ただ、その連綿と受け継がれてきた系譜が中村俊輔・遠藤保仁という名手ふたり以降、途絶えてしまっているのではないかと危惧しています。日本代表はこれまでセットプレーを大きな武器としてきただけに、その流れが止まるのは貴重な得点源を一つ失うことにもなります。日本の名キッカーの元祖である木村さんとしては、今の状況をどう感じていますか?

「たしかにサッカーでは、点が取れそうにない時に、FKを直接決めることで試合の流れがガラッと変わるのは往々にしてある。コーナーキックも結局、キッカーのボールの質がよければ入る。日本サッカーはそういう大事な場面で、いいボールを蹴る名手をたくさん輩出してきたと思う。そうした選手が出てこなくなったのは、一つはFKの練習をする選手が少なくなってきたんじゃないかな」

――木村さんの現役時代は、相当FKの練習をされたのですか?

「ワシなんかは、1日200〜300本は蹴りよった。チーム練習が終わったら(松永)成立(元横浜マリノス、元日本代表GK/現横浜F・マリノスGKコーチ)を呼んでさ、ジュースなんかを賭けてよく勝負をしたよ。あの時は面白かったなぁ。200〜300本というのは、ノルマを決めて蹴っていたんじゃなくて、楽しいからいつの間にかそんな数を蹴ってるんよ。いまはそうした選手はいなくなったんじゃないかな。チーム練習が終わったらサッとあがって、早く帰りたいじゃろう(笑)」