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なでしこ、強豪ドイツと引き分け。
W杯本番へ爪あとを残したFWがいる (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 そう読んだ横山は、すかさず中島へボールを戻す。すると、欲していたマイナス方向のボールが中島から返されてきた。あとはシュートを決めるだけ。一見、パスミスをした場面に見えたが、計算したうえで導き出したゴールだった。

 2015年、当時の佐々木則夫監督の指揮下では、横山はスーパーサブとしての役割が大きかった。与えられた限りある時間で"結果"を残すことを義務づけられていた彼女は、課せられたミッションを成功させることでその存在を印象づけてきた。

 その姿勢は今でも変わらず、高倉麻子監督の就任後も横山は招集され続けている。それでも、同時期から招集されてきたライバルたちが振り落とされていくのを目の当たりにして、「結果がすべて」と奮い立たせてきた。

 若手だった横山も、現在25歳。所属チームでは看板選手という立ち位置だ。

「チームでは全部のことをバランスよくできるようにしています。シュートよりパスを選ぶことが多いです」(横山)

 だが代表チームに入れば、その役割はストライカーへと変わる。その大きな違いを楽しめるようになってきた。

「普段は違う観点で練習をやっているけど、代表では自分の高みを求めて練習ができる。チームでは苦手な部分を克服して、代表はそれを生かせる場所です」

 代表では17ゴール目で、もちろん現在のメンバーのトップスコアラー。そして何よりゴールが量産されるゲームではなく、決めてほしい試合で決める嗅覚がある。意外にも、この6月からのフランスワールドカップがフル代表で初の世界大会となる。メンバー入りへしっかりと爪あとを残した。

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