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なでしこ、強豪ドイツと引き分け。
W杯本番へ爪あとを残したFWがいる (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 しかし、明るい材料ばかりではなく、チームとしての課題は解消されていない。失点はドイツに完全に崩されたもので、危険な選手を危険なエリアで立て続けにフリーにしてしまい、それは90分を通して何度も起こりうることだった。ドイツのようなトップレベルとの試合では、少しのミスが必ず失点につながることをあらためて思い知らされたシーンだった。

 2失点目も、タイミングがひとつズレて、すべてが後手に回ってしまった。パスワークで相手を崩してチャンスを作るのは、もはや日本の専売特許ではなく、アメリカ、フランス、ドイツなど強豪国も高いレベルで実行できている。ただし、これも想定内ではある。こういった流れの中でも、同等の攻撃力で得点を奪うことができるかどうかが、勝負の分かれ目となる。

 この日の試合でいえば、2得点とも相手GKのパスミスから生じたものだったが、それをゴールにつなげたことは評価できるポイントだ。欲を言えば、崩した形、さらにはセットプレーなど、いくつか見ておきたいゴールの形はあった。

 しかし、ピッチ上でフランス戦ほど相手に圧倒されることなく対応していく選手の姿に、監督、コーチ陣も胸をなでおろしたのではないだろうか。フランス戦から中4日で、ドイツのよさを消しながらゴールを奪う形に至る軌道修正は、このチームの強みがそのまま発揮されたと言っていい。

 阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)、岩渕真奈(INAC神戸)、籾木結花(日テレ・ベレーザ)らがケガで離脱しているとはいえ、これでW杯メンバーの最終選考が終わった。最後までベストメンバーで固定することをしなかった指揮官が、誰を最後のメンバーとするのか。最終メンバーが招集されたあとの約2週間の積み上げが、ワールドカップでの明暗を分けそうだ。

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