元ヤングなでしこ田中陽子とチームの絆。
ノジマステラが日本一に挑む (3ページ目)
「キャプテンとして本当に引っ張ってもらった」(田中)
4年前、田中は思うようなプレーができず、一からやり直そうとノジマステラへ移籍してきた。そこには「移籍が間違いじゃないことを証明する」という意地もあった。そのすべてを受け止めたのが尾山を初めとする選手たちだった。
延長後半、ジェフの厳しい攻めにもなんとか耐えた「創設メンバーの想いは新しい選手たちにも受け継がれている。初の決勝進出はこれまで関わってくれたすべての選手たちのおかげ」と菅野将晃監督も熱く語る。ベンチで戦況を見守る選手たちも気持ちは同じだ。
延長後半も残りわずかとなったとき、尾山とジェフ千葉Lの千野晶子とが激しくボールを奪い合い、ピッチに倒れ込んだ。
両者ともに体力は限界を迎えていたはずだ。足をつる尾山にベンチの選手たちから「がんばれ! がんばれー! あと少し!!」と大声が飛ぶ。表情を引き締めた尾山は、立ち上がろうとしている千野の背に一瞬優しく手を添えた後、再び走り出した。ノジマステラがどういうチームであるか、この場面を見ただけでも十分に伝わってくる。
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