元ヤングなでしこ田中陽子とチームの絆。ノジマステラが日本一に挑む

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 ヤンマースタジアム長居で行なわれた女子サッカー皇后杯準決勝で、ノジマステラ神奈川相模原が延長戦の末、ジェフユナイテッド千葉レディースを1-0で下し、チーム創設6年目で初となる皇后杯決勝進出を決めた。

試合後ファンへの挨拶で、仲間たちと笑顔を見せた田中陽子(左)試合後ファンへの挨拶で、仲間たちと笑顔を見せた田中陽子(左) 試合は両チーム譲らない攻防が繰り広げられた。互いに粘りの守備で決定的なシュートを防いだ。互いにわずかな隙間からでもシュートを放った。その1点を決めたのは、「もぎ取りたかった」と、南野亜里沙が執念でねじ込んだゴールだった。ゴールネットが揺れたのを確認した南野は、ベンチから飛び出してくる選手たちへ迷わず向かって走り出す。

 しかし、105分かかってこじ開けたゴールに沸いた後は、ジェフ千葉Lの猛攻が待ち構えていた。

 延長後半、ジェフ千葉Lが深澤里沙のシュートで反撃の狼煙(のろし)を上げると、続けて右サイドバックの若林美里が強烈なシュートを放つ。最後の15分間で4本ものシュートを浴びせるも、ノジマステラは全員が身体を投げ出し、跳ね返す。ロスタイムの2分間も守り抜き、ついに初タイトルへの挑戦権を手にした。

「ようやくここまで来ました。なんだか移籍で悩んでいた4年前が懐かしいですね」と感慨深い表情を浮かべたのは田中陽子だ。1部初昇格を果たしたノジマステラの今シーズンは、リーグ戦後半には思うように勝ち星を重ねることができず、得失点差でなんとか8位で残留を決めた苦しいものだった。田中は運動量を上げるために走り込み、トップレベルで通用するプレーになんとか近づけようとした。

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