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元ヤングなでしこ田中陽子とチームの絆。
ノジマステラが日本一に挑む (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 初めての皇后杯準決勝の舞台で、田中は攻撃型MFでありながら最終ラインまで下がってジェフ千葉Lの侵入者に食い下がる。田中のみならず、全員の意識がその連係したカバーリングに現れていた。皇后杯に向けて守備の課題に取り組んだ成果がそこにあった。失点ゼロで守り切ったからこそ得られた勝利。ただ、その分、田中の攻撃参加はいつもより控えめにならざるを得なかった。

「もう必死でした。でも全然ダメだった......」と本人の自己評価は辛口だ。攻守の切り替えが速いテンポで進む中、守備に追われれば田中にボールが入る位置は低くなる。味方へ預け、もう一度前線でもらうにはさらなる運動量が必要だ。

 決勝の相手はリーグ3連覇中の日テレ・ベレーザ。普通に考えれば、かなり分が悪い戦いになる。それでも諦めたくない強い想いがチームにも田中にもある。

 ノジマステラは今、ひとつの大きな区切りを迎えようとしている。ここまでチームを牽引してきた選手たちがスパイクを脱ぐ決意をしたのだ。

 6年前、土のグラウンドからその一歩を踏み出したキャプテンの尾山沙希もその決断をしたひとり。チームのピンチを身体ごと投げ出して救い、攻撃をサポートすべく全力で駆け上がる。彼女のプレーはノジマステラそのものだ。1部昇格時に、それまでの長い月日を想い、涙が止められずにいる彼女の姿が今も強く印象に残る。

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