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ハリルよ、わかるか?「戦術は
自らの優位を生かすためにある」の意味 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 ハリルホジッチは自らが信じるタクティクスを頑なに用いている。相手の状況や戦力に応じて変化させることはない。「縦に速い......」という戦術自体が悪いのではない。その戦術の運用の仕方が間違っているのだ。ロシアW杯では、すべて格上との勝負になるのだが......。

 戦術の正しい運用という意味でひとつの例がある。

 バスク代表監督であるミケル・エチャリは、2015年12月にカンプノウでカタルーニャ代表と対戦している。

 相手のカタルーニャ代表には、最強を誇るバルサの面々がずらりと顔を揃えていた。バックラインからボールをつなぎ、運ぶ、そのスキルは見惚れるほどだ。右SBにアレイチュ・ビダル、CBにジェラール・ピケ、マルク・バルトラ、左SBにジョルディ・アルバ、アンカーにセルジ・ブスケッツ。バルサのオートマチズムをそのまま使える陣容だった。

 バルサの本拠地であるカンプノウでの一戦に無策で挑めば、なすすべなく敗れることは必定だっただろう。バスク代表は1年に1回集まるだけの、それこそ急造チーム。コンビネーションには限界がある。

 そこで、バスク一の戦術家であるエチャリは一計を案じた。

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