北朝鮮に完敗。CB鮫島彩の「問題提起」が示す、なでしこの改善策 (4ページ目)
今後やられないために「こういう動きをしたらここがやられる」と試合中に感覚を研ぎ澄ましていた鮫島。最終的には、またお初の3バックの右サイドに移動し、オーバーラップから攻撃参加をしてみせた。「負けているときのパワープレーというのも今後必要」と鮫島は話す。
"成長枠"を外し、今組めるベストの人材でそのすべてを出し切って挑んだからこそ、見えてきた課題は、理想論ではなく現実論として、これからの強化に落としこむことができる。この2年は選手発掘・育成がメインの代表活動だった。ここまで現実的な課題が噴出したゲームは久しぶりだろう。
高倉麻子監督が掲げるのは「誰が出ても遜色のないチーム」だ。あえてメンバーを固定せずにここまで来たのもそのためだった。しかし、まずはチームのカラーとなる基礎をある程度、固定メンバーで構築することも必要なのではないだろうか。実際、人が変われば間合いも変わる。ベースがなければまた一からやり直しだ。軸となる阪口、鮫島、宇津木、そして今回不参加の熊谷紗希(リヨン)ですら、未だ模索中に見える。鮫島の言う、サイド攻撃の対応を決めるだけでも、ひとつの方向性が示される。攻守にしっかりと色を作り、そこに新戦力をなじませ、多彩に色付けをしていく道もある。
来年4月にはワールドカップ予選となるアジアカップがあり、出場権を獲得すれば、その翌年にはワールドカップだ。E-1選手権では初タイトルを逃したが、これまで以上に得るものもあった。高倉監督がどちらへ舵を切るのか――アジアカップまで4カ月。時間はそれほどない。
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