【フィギュア】世界選手権Vのアリサ・リュウ「大きなパーティーのように盛り上がった」 五輪シーズンはトリプルアクセル解禁へ意欲
2年間競技から離れ、今季に復帰したアメリカのアリサ・リュウ(19歳)。シーズンを通して調子を上げていき、復帰のシーズンに世界女王の座に駆け上がった。世界選手権での戦い、そして2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向けたモチベーションについて、インタビューに答えた。
今季3シーズンぶりに現役復帰し、世界選手権を制したアリサ・リュウ photo by Noguchi Yoshieこの記事に関連する写真を見る
【初の世界女王にも「どの大会も同じ」と冷静】
ーー世界選手権の優勝おめでとうございます。あらためて、2日たって(ボストン現地時間3月30日取材)、気持ちに変化はありますか?
アリサ・リュウ(以下同) もうすっかり落ち着いています。世界選手権で優勝したからって、自分の人生の目標やライフスタイルには影響しないので、あまり深く考えないようにしています。本当にクールな経験をしました。でも、もう2日前のことに過ぎない、という気持ちです。もう次に集中すべきことがあるし、私は過去を振り返らず、前に進みたいのです。
ーー集中すべきこととは?
まずオフシーズンがとても楽しみです。家に帰って、新しいプログラム曲を探したり試したり、いろいろな振り付けのアイデアを考えたり。私にとっては、新しいことをするのが何よりもエキサイティングなこと。もう来シーズンが始まるまで、長すぎる気がします。
ーー過去を振り返らないということですが、今回の世界選手権の演技について聞いてもいいですか?
今回は、ショートプログラムもフリーも、本当に楽しむことができました。とくにフリーは、まるで大きなパーティーのように盛り上がりましたね。ステップシークエンスは本当に楽しくて、心が開放されたような最高の気持ちでした。
ーー大会前に、試合で緊張や過度の興奮はしないと話していましたが、世界選手権という大舞台では、緊張はありませんでしたか?
まったく変わらないです。私にとっては、どの大会も同じです。名前が違うだけ。それにプレッシャーを感じない理由は、世界選手権で優勝しても、自分が世界一になるとは思っていないからだと思います。そういう意味で、タイトルがかかっているからといって重圧は感じませんでした。これはただのスポーツですし、たまたま世界選手権という名前の試合だったに過ぎません。
ーーショートプログラムで首位発進してからは、優勝を意識しましたか? どのように気持ちをコントロールしましたか?
順位はまったく気にしていませんでした。私のなかにあったのは、いいプログラムを演じたいという気持ちだけ。だからいいショートを滑ったら、次はいいフリーを滑りたい、と思うだけでした。順位とかランキングとかは、私のなかでは価値がなくて、スケートできることがすべてなんです。勝っても負けても、「よし、次のプログラムも頑張ろう」と思ってやってきました。
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著者プロフィール
野口美惠 (のぐち・よしえ)
元毎日新聞記者。自身のフィギュアスケート経験を生かし、
ルールや技術、選手心理に詳しい記事を執筆している。 日本オリンピック委員会広報としてバンクーバーオリンピックに帯 同。ソチ、平昌、北京オリンピックを取材した。主な著書に『 羽生結弦 王者のメソッド』『チームブライアン』シリーズ、『 伊藤みどりトリプルアクセルの先へ』など。 自身はアダルトスケーターとして樋口豊氏に師事。20 11年国際アダルト競技会ブロンズⅠ部門優勝。