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【フィギュア】世界選手権Vのアリサ・リュウ「大きなパーティーのように盛り上がった」 五輪シーズンはトリプルアクセル解禁へ意欲 (3ページ目)

  • 野口美恵●取材・文 text by Noguchi Yoshie

【私の夢はスケートよりずっと先にある】

ーー復帰して、昔の仲間のスケーターと再会できるのはどんな気持ちですか?

 本当に楽しいです。しばらく会っていなかったスケーターに会うたびに、昔の思い出話をしたり、この2年間に何をしていたのか報告したりしています。本当にすばらしいアスリートたちと再びスケートをするのは、とにかく最高の時間。だから試合に来るのが楽しみなんです。

ーーともに北京五輪に出場したネイサン・チェンさんも、今回会場にいらしていました。

 昨日、ネイサンに会いました。スケートのことや、どうして復帰したかなど、少し話しました。そして思い出話をしていたら、ちょうどヴィンセント・ジョウと、シブタニきょうだいも来て、北京五輪チームが一緒になったんです。本当に楽しかったです。

ーーネイサンとはどんな話を?

 何年も前のことですが、私はネイサンにアメリカのスケートの伝統を引き継ぐことについて聞きました。ネイサンは、自分が築いたスケートを次の世代に引き継ぐことができた、と。「アリサがいるから、僕はいつでもやめられる」と言ったんです。でもふたりとも北京五輪後に同時に引退してしまった。私としては、私はやめたとしても、彼は現役に残って、チームUSAを引っ張っていくべきだったのではと思いました。

ーー世界女王になった今、リュウ選手が今度はアメリカのスケートを牽引していく立場なのでは?

 私に引き継がれたと考えたくはありません。北京五輪の時のスターたちに、引退を撤回して戻ってきてほしいです。私は何かを背負うべき人物ではないと思うんです。だからネイサンと交渉して、リタイアを取り消してもらおうと思っているところです。彼はあと2年くらい現役でできると思いますよ。

ーーチェンさんは、勉強が忙しくて復帰できないそうです(笑)。リュウ選手は、世界女王になったことで、来季の目標は変わりますか? 五輪のメダルを意識したりしますか?

 いや、いや。私の目標は変わりません。順位や得点は私の目標ではないのです。私の夢は、スケートよりもっとずっと先の未来にあるもので、まだまだ待たなければならないことです。今はただ、滑ることの喜びを感じていきたいと思っています。

ーーありがとうございました。来季の活躍を応援しています。

終わり

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<プロフィール>
アリサ・リュウ/2005年、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。2019年、史上最年少の13歳で全米選手権を優勝。2021−2022シーズンにシニアデビューし、北京五輪6位、世界選手権3位。直後の2022年4月、当時16歳で引退表明。その後2024−2025シーズンに現役復帰し、世界選手権で優勝を果たす。

著者プロフィール

  •  野口美惠

    野口美惠 (のぐち・よしえ)

    元毎日新聞記者。自身のフィギュアスケート経験を生かし、ルールや技術、選手心理に詳しい記事を執筆している。日本オリンピック委員会広報としてバンクーバーオリンピックに帯同。ソチ、平昌、北京オリンピックを取材した。主な著書に『羽生結弦 王者のメソッド』『チームブライアン』シリーズ、『伊藤みどりトリプルアクセルの先へ』など。自身はアダルトスケーターとして樋口豊氏に師事。2011年国際アダルト競技会ブロンズⅠ部門優勝。

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