川澄奈穂美は感じる。「30代で、こんなにサッカーが楽しいなんて」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

川澄奈穂美インタビュー【後編】

プロとしての自覚を持ってサッカーを楽しんでいるという川澄奈穂美プロとしての自覚を持ってサッカーを楽しんでいるという川澄奈穂美

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 なでしこジャパンは今、パスワークと連係を攻撃の軸に据えようとしている。その中で、最終的に決定機を生むためには長短関係なく、縦のラインを突いていかなければならない。その最後の1本が通らずに苦しんでいるわけだが、NWSL(ナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグ)のシアトル・レインで縦の動きにフィット感を得ている川澄奈穂美に聞いてみたかった。

 コントロールがものを言うフィードパスの出し手に日本人がなり得ることは、レインのチームメイトである宇津木瑠美を見ても明らかだ。ならば、受け手となるために川澄がしていることとは何なのだろうか。

「動き出しとポジション取りはどちらも大事。出し手が見てくれていることが大前提ですが、特にポジショニングは大事にしています。それはボールを受けた後、自分がめちゃくちゃ足が速いわけじゃないから。アメリカ人だったら、そのままブチ抜いていくのでしょうけど。自分の中で1タッチ、2タッチ、3タッチくらいまでしても、次にいいところに配球できるっていうポジションを取るように意識しています」

 受け手の意識ひとつで、それは変えることができることなのか。

「ここにボールを出して大丈夫だよっていう形を作るようにはしています。これはパスを出すときもそうなんですけど、そもそもの立ち位置が違うと出す側はパスの選択肢として消しますよね。いくらスペースが空いていてもDFが見えてないのかな?って位置にいる選手もいますから。『確かにスペースは空いているけど......。じゃあ、1回パス出してみようか。......ほら、DFいたでしょ?』みたいな(笑)。これは感覚なので、言って伝わる人とそうでない人がいることはしょうがない。いいサッカーを見て勉強するっていうのも、上達するひとつの方法ですよね」

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