シアトルの川澄奈穂美に聞く、
ホンモノの「縦に速いサッカー」とは?

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

川澄奈穂美インタビュー【前編】

 シアトル・レインのホームであるメモリアルスタジアムでそのプレーを一目見た瞬間、彼女の"今"が充実していることがわかった。

アメリカNWSLのシアトル・レインで活躍している川澄奈穂美アメリカNWSLのシアトル・レインで活躍している川澄奈穂美 川澄奈穂美――その確かな戦術眼を武器に、ときにストライカー、ときにサイドアタッカーとして、なでしこジャパンに貢献してきた。所属していたINAC神戸レオネッサでも生え抜きとして象徴的な存在であった彼女が、新たな挑戦の場として選んだのがアメリカNWSL(ナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグ)のシアトル・レインだった。2014年3月にレンタル移籍をしてNWSLを体感したのち、2016年に完全移籍の道を選んだ。

「アメリカというより、海外に行きたいと思ったのが2013年シーズンの初め頃、何かきっかけがあったというよりは、『来年はアメリカにいる』と思った自分の感覚を信じました」(川澄)

 日本での環境にマンネリを感じていたわけではなかったが、INACで出場機会が減っていたこともあった。何より自分を必要としてくれているところでプレーしたいと願うのはプロとして当然のこと。2014、15年とレインは2年連続でレギュラーシーズン1位(NWSLシールド賞)を獲得し、ステファニー・コックス、メーガン・ラピノー、キーリン・ウィンターズといった有力選手たちとともに、川澄もベストイレブンに選ばれる快挙を遂げた。アーセナル・レディースの監督やイングランド女子代表のアンダーカテゴリーでコーチを務めるなど経験豊富なローラ・ハービー監督のもと、2012年創設の若いチームは着実にチームカラーを構築していった。

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