シアトルの川澄奈穂美に聞く、ホンモノの「縦に速いサッカー」とは? (5ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 今シーズン、7つを数えるアシストはもちろん、リーグトップ。自身も4ゴールを挙げている。これらの数字の根底には、彼女の縦サッカーに対応した絶妙なポジショニングがある。出し手にも受け手にもなるからこそ川澄には"見える"のかもしれない。そのポジショニングを生かすのが中距離の速いパスだ。

「1回ボールを止めてまで綺麗なパスをくれるより、ズレていてもちょっと浮いちゃってもいいから早めに欲しいんです。自分で何とかするから(笑)。3回触られてくるすごくいいパスよりは、10センチ浮いていても2回目のタイミングでくれた方が断然いいんです」

 アメリカ人選手とのフィジカルに差を感じるため、相手が来ないうちに仕掛けに入りたいと思う日本人らしい川澄の感覚が、レインの攻撃に新たな展開をもたらしている。経験からくる試合を読む目と、チャレンジャーとしてのフレッシュな感覚とが、いい塩梅(あんばい)に融合されているのが今の川澄のプレースタイル。まだまだ伸びしろは広がっている。

(後編につづく)

■なでしこ 記事一覧>>

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る