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長谷部誠が感じたハリルJの完成度「過去と比較して語るのは難しい」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 チームに甘えが出ると、あちらこちらで"水漏れ"が起こってしまう。UAE戦における長谷部のパスミスや、DF吉田麻也の緩慢な守備、PKをとられた大島僚太の判断ミスなどは、その部類だ。それが重なると、やがて致命的な失点へとつながる。

「すごい危機感があります。その分、(2戦目の)タイ戦は初戦で敗れたあとの試合で、どれだけ戦えるのか、というのが求められています。それは、みんなもひしひしと感じていると思うし、それを(タイ戦では)みんなに求めていきたい」

 長谷部は少し強張(こわば)った表情でそう語った。

 初戦のUAE戦に敗れて、続くタイ戦を迎える前、長谷部はバンコクの日本料理店に選手だけを集めて決起集会を開いた。長谷部は「気分転換のため」と言ったが、まだ1試合しか終わっていない時点での開催は異例である。それほど選手たちは追い込まれ、余裕がなくなっていた、ということなのだろう。

 しかも、長谷部は「この(決起集会の)効果は、タイ戦の結果次第」といって、決起集会での収穫などにはあえて言及しなかった。それがまた、いつもとは様子が違うことを暗に示していた。この時点では、初戦の敗戦から完全に気持ちを切り替えられて、改めてチームがまとまった、という雰囲気は感じられなかった。

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